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応急借上げ住宅

民間の賃貸などを借り上げる仮設住宅
自然災害などが起こると、住まいを失った人々が自らの資金では新たに住宅を得ることができなくなる場合があります。そのようなときに行政が貸与する仮住まいを応急仮設住宅と呼びます。一般には仮設住宅として知られており、プレハブ工法によって建てられるものが主流でしたが、最近ではトレーラーハウス(トラックで移動できるもの)の仮設住宅や居住性に優れた木造仮設住宅なども登場しています。
一方、応急的に民間の賃貸住宅などを借り上げて仮設住宅として提供することもあります。こういった仮設住宅は応急借上げ住宅、借上型応急仮設住宅、みなし応急仮設住宅などと呼ばれます。
行政の供給計画が重要
応急借上げ住宅の供給方式には次の2つがあります。

・マッチング方式
都道府県または市町村が物件を借り上げ被災者に提供する方式

・都道府県に申請する方式
被災者自らが物件を探して各都道府県が借り上げる方式

また、先に述べたような応急仮設住宅の場合は新たに建設することもあります。いずれにせよ、行政はあらかじめ不動産業団体などとあらかじめ協定を結んでおくなど、供給計画を立てておくことが重要です。災害が起こったときにすぐに提供できるとは限りませんし、住宅の形式による向き不向きや、被災地域の実情などを踏まえておく必要もあります。
東日本大震災では、政府は次の3つの仮設住宅を採用しました。

1.新設仮設住宅(大半はプレハブ)
2.民間賃貸アパート(応急借上げ住宅)
3.既存の公営住宅、国の宿舎

民間賃貸アパートは新築するより低廉であったこと、居住性も高かったことから約66,000戸が利用されたと言います。
「プレハブ=簡素」ではないけれど…
プレハブはプレファブリケーション(prefabrication)の略で、「事前にプレカット工場で加工を終わらせておく工法」のこと。これは一般の住宅でも採用される工法です。したがって、プレハブ=簡素な建物というのは、実は誤って広まったイメージだと言えます。
しかしながら、阪神・淡路大震災で採用された規格型応急仮設住宅(プレハブ建築協会の規格)では、建設現場等の仮設事務所などとほぼ同じ仕様になっていたことから断熱材が使われていないものもあり、夏には50℃近い室温になることもあったそうです。他にも様々な災害で設置された仮設住宅で結露、隙間風、遮音性の低さなどが問題になりました。
東日本大震災では、地方自治体とNGOが仮設住宅のハード面での改善に努めました。また、長期の仮設暮らしとなった福島県などでは、プレハブ仮設住宅よりも長く使用できる木造仮設住宅が広く利用されています。