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あ行
乙区
乙区
不動産登記に記載する際の区分
登記記録(不動産登記)には「甲区」と「乙区」の区別があります。甲区は不動産の所有権に関する事項を記載する部分のことで、「所有権保存登記」「所有権移転登記」「所有権移転仮登記」などが記載されます。
乙区は不動産の所有権以外の権利に関する事項を記載する部分のことで、「抵当権設定登記」「地役権設定登記」「賃借権設定登記」などが記載されます。
・抵当権
抵当権とは、債務者(お金を借りた人)が債務不履行、つまりお金を返せなくなった場合に、担保とした土地や建物を使って債権者が弁済を受ける権利のことです。抵当権が設定された不動産は、返済のためにその不動産が競売などにかけられると、抵当権者は他の債権者に優先して弁済が受けられる仕組みになっています。抵当権設定登記は、この抵当権を設定するために記載されます。
・地役権
地役権とは、一定の目的のために他人の土地を利用する権利のことです。例えば、「私の家から駅まではこちらを通ったほうが近い。日常的に使いたい」といった場合に、隣地に通行のために地役権を設定します。このとき、通行に利用される側の土地を「承役地」、利便性を高めようとする土地(自分の土地)を「要役地」と言います。
他にも、要役地の日照権確保のために承役地に高い建物を建てないようにしたり(日照地役権)、水道管やガス管を埋設したりするために地役権を設定することがあります。
・賃借権
賃貸住宅に住むとき、賃借人(居住者)は居住のために建物を使用する権利を得ています。賃借権とは、賃貸借に基づく賃借人の権利のことです。賃借人は賃借権を得ますが、同時に賃料を支払う義務を負います。また、原則的には建て替え、建物の売却は不可。その物件のオーナーや地主(賃貸人)の承諾がなければ転貸したり譲渡することもできません。
・地上権
賃借権とよく対比される権利に地上権があります。賃借権も地上権も借地権の一種で、地上権は他人の所有している土地を使う権利という点では賃借権と同じですが、土地の所有者の許諾がなくても、原則的には貸したり建物の売却や担保の設定が可能となっています。
賃借権と地上権には、債権と物権という違いもあります。賃借権は債権の一種。債権は「ある特定の人が他の特定の人に対してある特定の行為を行うことを請求できる権利」で、契約当事者間でしか主張することができません。一方、物権とは、物や権利を直接に支配する権利のこと。当事者だけでなく誰に対しても主張することができ、権利者が自由に処分することもできます。