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違約金
違約金
契約に違反した場合に支払うお金
「違約金」と聞くと、芸能人のCM降板違約金○億円とか、プロスポーツ選手の違約金(正確には契約期間中に移籍する場合に新しい移籍先が支払うお金は移籍金と呼ばれる)を思い出すかもしれません。違約金とは契約に違反した場合に請求されるものですが、法律などで上限が決まっている場合もあります。民法上では、以下の2つの場合に違約金を請求できます。
・債務不履行責任(民法415条)
・不法行為責任(民法709条)
そして、不動産契約は違約金が発生しやすいジャンルの1つです。
不動産の違約金には一定の制限がある
不動産の売買契約では、一方が債務を履行しない場合に債務の履行を確保するため、債務を履行しない当事者が他方の当事者に対して一定の金銭を支払わねばならないとされています。これは不動産取引における違約金です。
なお、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が売主となる宅地建物の売買契約においては、「損害賠償の予定」と「違約金」との合計額は売買代金の2割を超えてはならないと定められています(宅地建物取引業法第38条)。これは強行規定(当事者の意思に左右されずに強制的に適用される規定)とされています。買主が売買取引に精通していない一般人の場合にあまり不利な状況にならないように保護されているのです。宅地建物取引業者同士の売買取引については、この規定は適用されません。
過剰な損害賠償はNG
「損害賠償の予定」という言葉が出ましたが、これは当事者の一方が債務を履行しない場合を想定してあらかじめ損害賠償の額を取り決めておくことです。実際には「損害賠償の予定」と「違約金」は同じ意味であると解釈するケースが多いと言われています。「損害賠償の予定」には、将来債務不履行が生じた場合、実際の損害額を立証しなくても所定の損賠賠償を請求できるという特徴があり(大抵の場合は立証に大変な労力がかかります)、請求された側には減額を求めたりすることはできません。
しかし、実際の損害額が「損害賠償の予定」より少ない場合であっても、債務者は予定された賠償額を支払わなければなりません。このため裁判例では、不当に高額な予定賠償額であった場合は減額を認めた事例があります。また、先に述べた宅建業法のように一般の買主を保護するための規定が存在しますし、消費者契約法にも平均的な損害額を超える損害賠償の超過部分は無効とする規定があります。
ちなみに「違約金」は本来「実際に損害が発生しない場合でも支払いの義務が生じる」という点が「損害賠償の予定」とは異なります。民法では、売買契約書でその意味を明示していない場合には「違約金」は「損害賠償の予定」の意味であると一応推定される、と定めていますが、本来の意味での「違約金」を求める場合は売買契約書に明記しておくことが望ましいとされています。