ウチコミ!

遺跡台帳

遺跡を調査した記録
宅地を造成したりすると、稀に「遺跡」が発見されることがあります。集落跡や貝塚・古墳、城館跡などを総称して遺跡と呼び、これらの遺跡について時代、種類、所在地、面積、主な出土品などを記載した台帳のことを遺跡台帳と呼びます。
遺跡台帳は原則として市町村教育委員会が作成するもので、誰でも閲覧することが可能です(文化財保護法第95条に規定されている)。また、遺跡が存在する場所を明示した地図は「遺跡地図」と呼ばれています。
土地に埋蔵されている文化財は「埋蔵文化財」であり、埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地を「周知の埋蔵文化財包蔵地」と呼びます(文化財保護法第93条第1項)。周知の埋蔵文化財包蔵地は全国で約46万カ所、毎年約9千件の発掘調査が行われていると言います。
埋蔵文化財は市民共有の財産と位置付けられますので、遺跡の範囲内で土地の形状を変更するような工事(住宅の新築、建て替え、宅地の造成、建物の解体など)を行う場合は、まず工事着手の60日前までに教育委員会に届出をすることが義務付けられています。工事の計画地のすぐ近くに遺跡がある場合は協議が必要になり、届出をしないまま工事を行うと中断させられることもあります。
最近では遺跡地図をインターネットで閲覧できることもありますし、各地の埋蔵文化財センターへFAXやEメールで問い合わせればその土地が遺跡範囲に含まれているか、近くに遺跡がないかを確認することができます。
埋蔵文化財に出くわした場合
文化財保護法では、工事中に埋蔵文化財を発見した場合にも速やかに「埋蔵物発見届」を提出する等して然るべき対応をするよう求めています。このような場合は教育委員会が埋蔵地の処遇を決定します。より重要な文化財の場合は文化庁長官に届出を行う必要があり、工事が大幅に遅れることもあり得ます。
調査費用は事業者負担
遺跡はできるだけ現状のまま保存することが望まれるもの。しかし、協議を行っても工事によって破壊が避けられないこともあります。そのような場合は、工事着手前に発掘調査を行って遺跡の記録を残します。調査費用は事業者負担になりますが、個人が営利目的ではなく行う住宅建設の場合は補助などが受けられる制度があります。
なお、工事内容の一部を変更すれば発掘調査が不要になることもあるのだとか。いずれにせよ、遺跡と関わるときは早めに埋蔵文化財センターに相談すると良いでしょう。