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一括競売

抵当権が設定されていない建物も一括で売却
競売(けいばい、きょうばい)とは、不動産を強制的に売却して住宅ローンを回収することです。住宅ローンを組む時、金融機関は抵当権という担保を不動産に設定します。「この住宅ローンは返済によって回収できそうにない」ということになると、金融機関は抵当権に基づいて裁判所に競売を申し立てることになります。
一般に競売が行われるのは、次のようなケースが考えられます。

①マンションの管理費等を滞納してしまった
②住宅ローンの返済ができなくなった
③借金、カードローンなどの返済ができなくなった
④固定資産税を滞納してしまった(公売)

不動産投資を営んでいる人にとっては、マンション管理費等の滞納が最も身近でしょうか。この場合、競売を申し立てるのはマンションの管理組合です。管理費や修繕積立金が長い間滞納されてしまうと他の住民との間で公平性が保てなくなるので、競売に踏み切ることになります。
ところで、抵当権を設定した土地に後から建物が建てられることは当然あり得ます。このような場合に土地とともに建物も競売することを「一括競売」と呼びます。同一の所有者が抵当地に建物を建てていた場合、債権者は建物の取り壊しを要求したり、建物に対しても競売を申し立てることができます。
なお、一括売却にするかしないかは申立人(抵当権者)の自由選択が可能だというのが通説であり、裁判所が職権で一括競売にすることはないようです。
建物を建てたのが第三者でも売却できる
従来は、同一の所有者が抵当権を設定された土地に建物を建設した場合に限って一括競売が認められていましたが、それだと第三者が建物を建てた場合には任意に明け渡してもらうか、「建物収去土地明渡訴訟」を起こすしかありませんでした。当然ながら、土地の売却は困難となり、価格も低下するなどの問題が起きてしまいます。そこで平成16年には民法並びに民事執行法が改正され、同一の所有者以外が建物を建てた場合であっても土地と建物を一括して競売に掛けることができるようになりました。売却された場合、代金は土地の抵当権を有する債権者に優先弁済され、その残金が建物所有者に返還されることになっています。また、建物に対して抵当権が設定されていない場合も競売できますが、優先弁済の対象になるのは同じく土地の対価についてのみです。
ただし、建物所有者が抵当地の占有を抵当権者に対抗できる権利を有する場合は建物の競売はできません。