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移住

移住には明確な定義がない?
移住とは「住む場所を移すこと」です。しかし、例えば東京都内で引っ越した場合、「移住した」と言っていいのかどうか、迷うのではないでしょうか。辞書には「他の土地に移り住むこと。特に、開拓・商売などの目的で、海外に居住地を変えること」と書かれていたり、用語集などではシンプルに「住む場所を移すこと。生活の本拠地を移転する場合を言う」と紹介されていたりします。
他にも「一時的に他の場所に居住することは移住ではない」「近所に転居する場合も移住とは言わない」などと注釈が付くことがあります。確かに「地方移住」「海外移住」とは言いますが、「近所移住」「都内移住」と言うとかなり変な感じがします。しかし「東京都脱出、国内移住」などと言われても違和感はありません。「移住」という言葉には明確な定義はないとも言われるようですが、国内の引っ越しでは都道府県が移れば「移住」と言ってもおかしくはない、というところでしょうか。
海外への移住
国内移住をすると転出届・転入届や電気・ガス・水道の手続きなどが必要になりますが、基本的には一般的な「引っ越し」になります。しかし、海外移住をするとなると国籍など、獲得する条件によって生活が影響を受ける場合が出てきます。
例えば国籍を獲得すれば、原則として土地の所有や参政権、公務就航権など、その国の国民としての権利を手に入れることができます。当然、その国には無期限で滞在できますし、入国拒否されることもありません。ただし、国籍を得るには血統主義(両親の国籍を重視する。日本は血統主義)や出生地主義(生誕国を重視する。アメリカは出生地主義)といった考え方に合致している必要があります。別の国の者が他の国で国籍を取得する場合は「帰化」と言いますが、一般的に帰化するためのハードルは高めです。
国籍は変えなくてもその国に無期限で滞在できる権利もあり、永住権と呼ばれます。入国を許可するビザ(査証)の中でも最も効力が強いもので、日本では正規のビザの取得後10年以上日本に住んでいる等の厳しい取得条件があります。また、アメリカでよく話題になる権利に市民権がありますが、市民権は国籍と同義に使われる場合があります。つまり市民権を得れば選挙権などの権利を得ることができるのです。
なお、アメリカでは外国籍であっても市民権を得られる制度となっていますが、日本人の場合は日本政府が二重国籍を認めていないため、アメリカに移住すると永住権(グリーンカード)か市民権かで悩むことになるようです。
移民と難民
移住と言うと移民や難民のことが頭をよぎる人がいるかもしれません。移民も難民も「移住する人々」ですが、移民については実は国際的に合意された定義はありません。ただしEUでは「EU加盟国以外の国の国籍を持ち、EU諸国内に3か月以上滞在する外国人のこと」と設定されており、日本では入管法上の「中長期在留者」と「特別永住者」が「移民」に該当すると国際機関では解釈されています。難民の場合は種々の迫害の対象となり自国外に逃れていること、自国政府の保護を受けることができないなど、厳密な定義があります。この定義では戦争やテロなどの危険を逃れるために出国した人は「難民」と呼ばれませんが、EUやアメリカなどでは人道的観点からこれらの人々に保護を与えています。