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アセットアロケーション

投資に関する金融経済用語の1つに「アセットアロケーション」があります。アセットアロケーションは「資産配分」と訳されることもありますが、言葉だけ聞くと「ポートフォリオと何が違うの?」と思ってしまうかもしれません。ポートフォリオは「金融資産の組み合わせ」を意味しますので、ちょっと違いがわかりづらいですね。今回はポートフォリオとの違いからアセットアロケーションをご説明します。

「資産クラス」の配分を決める
最初に結論から言えば、アセットアロケーションとポートフォリオはまったく異なるものです。アセットアロケーションは「資産クラス(資産の種類や分類)」の配分を決めたもの。ポートフォリオはアセットアロケーションに従って資産クラスごとの「具体的な金融商品」を決めたものになります。
簡単に言えば、アセットアロケーションは次のように資産を配分するものです。
〈アセットアロケーションの例〉
  • 日本債券50%
  • 先進国株式40%
  • 新興国株式10%
大まかに国内・先進国・新興国の株式や債券、REITなどの「資産クラス」で配分を決めているわけです。これに対し、ポートフォリオは次のようになります。
〈ポートフォリオ〉
  • A債券30%、B債券20%(日本債権)
  • B株式20%、C株式10%、D株式10%(先進国株式)
  • E株式6%、F株式4%(新興国株式)
なお、アセットアロケーション、ポートフォリオ共に現金や保険なども含めて考えることもあります。
分散投資の戦略を考える
ポートフォリオは自分が所有している資産の一覧なので、資産を持っている人なら誰でも簡単に作れます。しかし、アセットアロケーションは違います。分散投資を有利にするために考えるのがアセットアロケーションであり、それに従って実際に投資することで完成するのがポートフォリオなのです。
具体的には、「自分はどれぐらいまでならリスクを許容できるか」「どれぐらいの収益を期待するか」「どの資産クラスにどれだけの資産を振り分けるか」といった方針に従ってアセットアロケーションを決めていきます。
最近では資産配分ツールを備えていたり、アセットアロケーション分析ができるWebサイトもあります。例えば「myINDEX」というサイトでは、各資産をどれぐらいの割合で投資するとどの程度のパフォーマンスが得られたはずだったかをシミュレーションしたり、目標とする年利を選ぶとそれを目指すためのアロケーションを提示してくれたりします。

(参考:湯之前敦『資産運用の超入門書』高橋書店)