前回までに青地・青道、赤地、そして里道についてご紹介しました。赤地には他に赤道・赤線という呼び名もあります。これは赤地が公図上で赤線が引かれることが多い道路(道路の敷地であった土地のこともある)を示す言葉だからです。ちなみに赤道は「あかみち」または「あかどう」と呼ばれることがありますが、決して「せきどう」とは読まないようにしましょう。
サイト「All About」では、「現代も生き続ける…土地の亡霊!」という記事で、赤道に関する興味深いエピソードを紹介しています。
- 赤道に幅がないから払い下げできない?
- 「あるとき、東京都のA区でこんなことがありました」という出だしで「All About」の記事は始まります。
一見すると普通の土地がありました。ところが公図を調べてみると、土地の真ん中に1本の線が…。そう、それは赤道。奥の土地は建築基準法の接道義務を果たしておらず、そのままでは使えないので、土地を取り扱おうとしていた人は「払い下げを受けよう」と考えたそうです。
ところが、なんと! 区役所の台帳には赤道の「幅」が記載されていなかったのです。担当者によれば「幅はありませんが、国有地です。しかし、幅のないものを払い下げはできません」とのこと。もちろん、土地を取り扱おうとしていた人は納得できませんでしたが、最後は面倒になってあきらめてしまったのだとか…。レアケースでしょうが、長い年月のうちに扱いが曖昧になって、処分できない赤地も存在するようです(断言できないのは、その土地がその後どうなったのか、追跡調査が行われなかったからです)。 - 地番の記載がなく着色されていない区画は「白地」
- 赤地、青地の呼称は明治時代の地租改正で作られた字限図(あざぎりず)に由来するもの。後の公図は字限図を元に作られたからです(公図は字限図の別称とされていることもあります)。そして、字限図、公図で地番の記載がないだけでなく着色されていない区画は、白地(しろち)と呼ばれています。白地は管理されていない国有地です。白地の多くは道路ですが、中には土手、資材置き場など、市町村が把握・管理していない土地になっていることもあります。現況は宅地、農地、山林、原野などになっているので、売買の対象となっている土地に白地が含まれている場合は、赤地や青地と同様、国有地払い下げ手続きを申請する必要があるでしょう。