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上物

土地の「上」に存在する建物
仲間内にだけ通用する特殊な用語のことを「ジャーゴン」と呼んだりしますが(他に失語症の症状の1つを「ジャーゴン」と呼ぶこともある)、不動産や建築用語の中にはジャーゴンなのか一般用語なのか、とっさに判断の付かないものもあります。「上物(うわもの)」もそういった用語の1つかもしれません。
上物とは「土地の上に存在する建物」のことを言います。「上物を解体して更地にする」「上物の設計は後から行う」といった使われ方をします。
また、不動産広告においては土地の上に家屋が存在する場合は「上物あり」と表現することがあります。ホームページなどでは土地の写真が載っていることが珍しくありませんが、現状とタイムラグがある(実際には解体工事が終了しているのに上物が残ったままの写真が掲載されていたりする)こともあるので、情報を見落とすと面倒なことになるかもしれません。
ちなみに不動産広告では、上物が老朽化したりしていて価値が非常に低いと考えられるような場合は「上物あり」ではなく「古家あり」「廃屋あり」と表現するのが望ましいとされています。お客さんがまともそうに見える写真を当てにして現物を見に行ったのに、中はボロボロだったりすればお客さんはガッカリしてしまいますし、業者の信用にも関わってきますので、この辺りの記載は厳密にしておきたいところです。
現存する上物をどうするか
もっとも、現存する上物をどうするかは購入者の自由です。撤去して新しい建物や駐車場などにするもよし、手直しして再利用するもよし。また、最近では空き家が問題になっていますし(平成31年4月26日に発表された平成30年住宅・土地統計調査の概数はおよそ846万戸、全住宅に占める空き家の割合は13.55%)、賃貸住宅でも空き家は増加傾向にあり、中古物件をどうするかの重要度は増してきていると言えます。もちろん、住むのが目的で中古物件を購入した場合は良いのですが、例えば相続で中古物件が転がり込んできたらどうするか。空き家の活用法としては以下の2つが考えられます。

・そのまま、あるいはリフォームして賃貸する
損傷が軽ければ、簡単なクリーニングをして貸し出すことができます。そうでない場合は、修理やリフォームをして貸し出すことが考えられます。シェアハウスや貸店舗など、レンタル可能な建物として活用する方法です。

・建て替えて賃貸する
空き家を完全に建て替え、賃貸住宅などにして貸し出す活用法です。ただし、解体から新築までのコストがかかるので、家賃が高額なエリアでなければ収支が合わなくなります。

・解体して更地にする
多少状態の良い空き家であっても、あえて更地にして駐車場や事業用の土地としてレンタル活用する方法も考えられます。また、更地にしたほうが処分(売却)しやすい場合もあります。