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エンボス加工

浮き彫り・浮き出し加工
「エンボス」という言葉は、ものづくりに携わらない人にとっては馴染みがないかもしれません。エンボス(emboss)とは「浮き彫りにする」という意味。浮き彫りとは、絵や模様、文字などが平面から浮き上がるように彫ることを言います。また、エンボスは「浮き出し」と訳されることもあります。紙にエンボス加工を施すこともありますが、その場合は浮き彫りではなく、凸版と凹版で紙を挟んで盛り上げ、立体感を与えます。ちなみにPhotoshopなどの画像編集ソフトではエンボス加工は定番の画像処理となっています(二次元画像なので実際に立体になるわけではありませんが)。
様々に応用可能なエンボス加工
エンボス加工は車のナンバープレートやクレジットカードの番号などにも使われています。また、住宅の壁紙などにもエンボス加工が施されているものがあります。エンボス加工は数ミクロンの微細な起伏から深さ10~20mmといった大きなものまで存在しており、デザイン性と同時に機能性を付与することもできます。

〈デザイン性の例〉
・光の乱反射やつや消し効果(微細エンボス加工)、遮光
機能性とも通じることですが、起伏によって人の目を引きつけたり、微細エンボス加工によってつや消しにしたりできます。
・アイキャッチ力
比較的浅いエンボスでも、印刷等と組み合わせることにより立体感を強めることができます。
・質感の拡張
素材が持っている質感とは異なる質感を与えたり、木目などの質感によって高級感を高めることができます。

〈機能性の例〉
・防音、遮音、吸音効果
凹凸の形状などを工夫すると、様々な音の変化を得ることができます。
・塵埃(じんあい)などの吸収・吸着
エンボス加工で素材の表面積を増加させ大きな吸収・吸着効果を得ることができます。 ・素材の接着力(接合)の向上
素材を重ねてエンボス加工すると接着力(接合)を高めることができます。
・液体や汚れの吸収、吸着、除去及び保水性の向上
エンボス加工の屈曲面が液体や汚れの吸収、吸着、除去の効果及び保水性を高めます。
・クッション性
エンボス加工の凹凸はバネの役割を果たすので、工夫すればより高い弾力性を得ることができます。
・摩擦力の調節
エンボス加工の形状を工夫すると、組み合わせる物体と凸部とが点接触となり、滑り効果が向上します。素材同士がくっつくことも防止できます。逆に凹凸の間隔を広くしたり、凸部を対象に食い込ませることで摩擦力を高め、滑りにくくしたりすることができます。