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【京都で愉しむセカンドライフ】百花の魁、京都の「春の訪れ」を感じさせる梅のスポット

奥村 彰太郎奥村 彰太郎

2022/02/11

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写真/奥村彰太郎

冬のモノトーンから色づく春の訪れへ

立春が過ぎ、花の便りが聞かれる頃、梅の開花が各地で見られるようになった。花見と言えば、桜を思い浮かべるが、奈良時代は梅が主役、中国から渡って来た梅が珍重されたようだ。

「令和」という元号の出典となった万葉集の「初春の令月にして 気淑しく風和ぐ 梅は鏡前の粉に披き 蘭は珮後の香に薫る」という文は、当時の太宰府長官の大伴旅人が開いた「梅花の宴」の序文で書かれたとあることから、梅の花見を楽しんでいた様子が伺える。

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魅惑の街 京都

梅は百花の魁(さきがけ)とも言われ、冬のモノトーンの景色から、春の訪れを感じさせる花だ。京都は梅の名所が多い。今回は「北野天満宮」と「城南宮」を取り上げる。

北野天満宮の梅とともに楽しめる、舞妓さんの茶の湯の接待


北野天満宮

北野天満宮は、学問の神さま 菅原道真を祀る神社。全国にある天満宮・天神社の総本社で、天神信仰の発祥の地。

梅をこよなく愛した道真は、太宰府に赴任する際、自宅の庭で大切にしていた梅に寄せて「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花、主なしとて春を忘るな」という和歌を詠まれたといわれている。

毎年2月初旬から3月下旬にかけて梅苑が公開され、多くの花見客で賑わう。また期間限定で夜間のライトアップも楽しめる。

毎年2月25日には「梅花祭野点大茶湯」が行われる。秀吉が行なった北野大茶湯にちなみ、梅苑に野点の席が設けられ、上七軒の芸妓さん舞妓さんによる茶の湯の接待を楽しむことができる京都の雅な風物詩となっている。


梅花祭野点大茶湯

3年前に訪ねた時は、野点拝服券を購入するための行列ができていて、1時間以上並んだ。受付でお菓子を受け取り、茶席の列に並び、順番に舞妓さんが運んでくるお茶をいただく。待つ時間は長いが、満開の梅の景色と、舞妓さんのお運びの様子を見ているだけで楽しい気持ちになれる。


梅花祭の菓子

昨年は中止になったが、今年は人数制限等の感染対策を講じて行われる予定だそうだ。

さまざまな品種の梅と、椿の花が美しい城南宮


城南宮神苑「満開の梅」

城南宮は、平安遷都に際し都の南の守護神として創建された。方位の障りや家相の心配などがないように祈願する方除(ほうよけ)の大社として信仰を集めている。

幕末の鳥羽伏見の戦いは、この城南宮の参道に集まった薩摩軍の大砲が轟いたことによって戦端が切られたとのこと。

社殿の西側にある神苑「春の山」には、150本もの枝垂れ梅が植えられていて、春の到来を告げてくれる。


城南宮神苑「紅白の梅」

2021年は2月下旬に訪れたが、ちょうど満開の時期で、苑内に入ると薄紅色や白色の枝垂れ梅が豪華絢爛に咲き誇り、その美しさに圧倒された。梅の枝一本一本にびっしり花を付け、幾重にも重なり合っている姿は、えも言われぬ景色だ。


城南宮本殿の梅

順路に沿って進んでいくと、梅林に続いてさまざまな品種の椿が植えられている。緑の苔の上に落ちた真紅の椿の花と、薄紅色の枝垂れ梅のコントラストがとても綺麗で、梅の季節には毎年見に行きたいスポットだ。


城南宮神苑「枝垂れ梅と落ち椿」


城南宮の紅梅

一昨年は2月中旬に訪ねた。まだ梅は咲き始めだったが、この日は「七草粥」を食べるのが目的だった。城南宮では旧暦に合わせて2月11日を「七草粥の日」として、春の七草を神前に供え、無病息災、延命長寿を祈願する。

当日、斎館と呼ばれる神社の会館で、参拝者は熱々の七草粥を食べることができる。


城南宮「七草粥の日」

春の七草は「セリ、ナズナ、スズナ、スズシロ、ホトケノザ、ゴギョウ、ハコベラ」のこと。若菜のみずみずしさを体に摂り入れることで元気になるのだろう。七草を刻むときに歌われてきた「七草なづな」の歌が会場に流れていた。

「唐土の鳥が日本の土地に渡らぬ先に七草なづな テッテッテロロロ……」

残念ながら、七草粥の接待は、22年の今年もコロナ禍で中止となっている。感染が落ち着き、安心して花見ができる日が待ち遠しい。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラー

1953年東京生まれ、東京都立大学卒業、株式会社リクルートに入社。進学や住宅の情報誌の営業や企画・人事・総務などの管理職を務め、1995年マネー情報誌『あるじゃん』を創刊。発行人を務めた後、2004 年 ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラーの資格を活かし、“キャリアとお金”のアドバイザーとして独立。企業研修の講師や個別相談を中心に活動中。大学の非常勤講師も務める。東京と京都のデュアルライフを実践中。

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