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〜この国の明日に想いを馳せる不動産屋のエセー〜

『無題』——日常のモヤモヤに梅雨の晴れ間の太陽光線(3/3ページ)

南村 忠敬南村 忠敬

2022/06/16

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【走行車線と追い越し車線】

道路によっては区分された車両の通行帯が示されているが、そこに「走行車線」とか、「追い越し車線」というような名称が付されているわけではない。車線の呼び名は一般的だが、法律では規定がなく、複数車線の道路では、左側から「1番目、2番目、3番目…の通行帯」というふうに表されている。

では何故走行車線とか追い越し車線などと呼ぶことが一般的かというと、道路交通法第20条(車両通行帯)の規定で、「車両は、中略…道路の左側端から数え一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(除外略)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。」と決められている。つまり、複数車線の一番右の車線は、通常の場合、車両の走行が認められていない通行帯で、追い越しや右折、危険回避で止むを得ない場合に限って走行が許されるので、あえて“追い越し車線”と呼ばれるようになった。

だから、何も“高速道路や自動車専用道路”に限ったことではなく、一般道でも適用される“通則”だということに注意しなければならない。各地に見られる片側3車線程度の一般道で、右側車線が右折専用レーンとして通行指定されている道路を走っているとき、渋滞を避けるために交差点手前まで右側を走行し、左側の車列に割り込むことなど日常的だ。ドライバーの多くは、「何故ここが右折専用なんだ!? 直進と右折の併用にすれば走りやすいのに!」と思われているだろう。何故右折専用レーンなのかは、前述の通り複数車線の最も右側の通行帯だから、なのである。

道路交通法は、ドライバーの“走り易さ”を追求するための法律ではなく、車両(軽車両含む)から歩行者等を守り、交通安全のために交通障害を防止するのが目的の法律だからである。人間はつい自分本位で物事の利便性を考えてしまうが、道路交通法上ではクルマはあくまでも客体なのだ。


イメージ/©︎photoAC

何はともあれ、クルマは人類屈指の大発明であることは疑いない。自動車の歴史は地球環境破壊の歴史でもあり、この先の近未来に向けて、自動車を取り巻く環境は大きく変貌を遂げていくはずだ。

それを操るのが一人一人の人間であることが、恐ろしくも凄いことだと思う。鉄の塊は、人々の夢を育む文字通りのDREAM-CARである反面、人の命をも奪う凶器ともなる。アンガーマネジメント(怒りのコントロール)が取り沙汰されるが、そもそもクルマに乗ったら怒らない、ということが重要なのであって、罰則強化一辺倒でドライバーのストレスを冗長する施策には限界を感じている。未来のクルマには、運転免許のほかに、興奮を引き起こす脳内ホルモン“noradrenaline(ノルアドレナリン)”抑制手術が必須とならないよう、理性を磨きたいものだ。

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この記事を書いた人

第一住建株式会社 代表取締役社長/宅地建物取引士(公益財団法人不動産流通推進センター認定宅建マイスター)/公益社団法人不動産保証協会理事

大学卒業後、大手不動産会社勤務。営業として年間売上高230億円のトップセールスを記録。1991年第一住建株式会社を設立し代表取締役に就任。1997年から我が国不動産流通システムの根幹を成す指定流通機構(レインズ)のシステム構築や不動産業の高度情報化に関する事業を担当。また、所属協会の国際交流部門の担当として、全米リアルター協会(NAR)や中華民国不動産商業同業公会全国聯合会をはじめ、各国の不動産関連団体との渉外責任者を歴任。国土交通省不動産総合データベース構築検討委員会委員、神戸市空家等対策計画作成協議会委員、神戸市空家活用中古住宅市場活性化プロジェクトメンバー、神戸市すまいまちづくり公社空家空地専門相談員、宅地建物取引士法定講習認定講師、不動産保証協会法定研修会講師の他、民間企業からの不動産情報関連における講演依頼も多数手がけている。2017年兵庫県知事まちづくり功労表彰、2018年国土交通大臣表彰受賞・2020年秋の黄綬褒章受章。

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