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また起きた…札幌でアパート2階通路床が崩落、女性が落下しケガ オーナーは点検と対策を(2/2ページ)

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入居者にも尋ねよう

入居者にも尋ねたい。何を尋ねるのか? 答えは簡単だ。彼らこそは毎日そこに暮らし、物件に存在する危険をもっとも感知しやすい人々なのだ。

「物件に危険や異常が生じていないか? 気になることはないか?」——ヒアリングやアンケートを行い、リスクの早期発見にぜひ協力してもらおう。

外階段や外廊下、手すりなどばかりではない。「漏電しているのでは」「ガス器具の調子がこのところおかしい」など、外からは状況が判らず、オーナーも管理会社もなかなか気付けない異常について、彼らに聞けばより早くそれを知ることができるはずだ。

リスクの周知を怠ってはならない

今回の札幌の事故で、オーナーにとってよい教訓となるのが、ケガをしたのが入居者ではなく外部の人だったその経緯だ。

報道内容から想像するに、この物件のオーナーもしくは管理会社は、取り壊し予定で、なおかつ無人の建物に人が立ち入らないよう、以前は何らかの手立てを講じていたらしい(前述のとおり柵があったとの話が出ている)。しかしながら、事故発生時にはそれがおそらく無くなっていたか、機能しなくなっていたようだ。

それではいけない。今回、警察が業務上過失傷害の疑いで調べを進めている旨報じられている通り、ケガをさせた相手が誰であろうと、責任は物件の所有者にかかってくるのが基本だ。賃貸物件の場合、それはもちろんオーナーだ。(民法上の工作物責任)

立ち入ったり、近づいたりした際にリスクがある建物ならば、誰にでも分かるよう明確にそれを表示しておかないと、事故が起きた際、他人の身体・生命だけでなくオーナー自身の立場や財産も守れなくなる危険性が高いことを肝に銘じておこう。

施設賠償責任保険には必ず入っておく

施設賠償責任保険については、これを知るオーナーが最近かなり増えてきている。さきほど挙げた八王子の事件や、苫小牧の事故などが契機ともなっているようだ。

ちなみに、施設賠償責任保険とは、こんな内容の保険となる。

「被保険者(賃貸物件であればオーナー)が所有、管理する施設において、それらの欠陥や、管理・安全性の不備等による事故が生じ、他人の身体や財物へ損害を与えた場合で、被保険者(同上)が法律上の賠償責任を負うことになった際、賠償金や緊急費用、争訟費用等を補償してくれる——」 

要は、賃貸物件において建物の欠陥や不備にともない入居者等がケガをした場合など、この保険がオーナーを財産面で守ってくれる。

つまり、オーナーならば必須のリスクヘッジ手段といえるが、うっかり存在を知らずにいたり、加入している火災保険に付帯できるのに怠っていたりといったケースがたまに見られたりもするものだ。

そんな状態のままでは賃貸経営はいささか危なっかしい。繰り返すが、この保険はオーナー「必須」のリスクヘッジといえるひとつだ。

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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