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賃貸・隣の部屋がうるさい! 正しい対処法とは

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隣の部屋がうるさい!

あれこれ探し、気に入って選んだ新しい賃貸の部屋。ところが住み始めて間もなく…

「隣の部屋(あるいは上の部屋、下の部屋など)の住人がう・る・さ・い!」

早速、悩みを抱えてしまう人が増えやすいのが3月、4月といったこの時期だ。主な状況といえばこんなところだろう。

隣や上下の部屋など、同じ賃貸住宅に住む「隣人」が――

  • 夜中に人を呼んで騒ぐ
  • テレビやゲーム、オーディオなどの音を周りに響かせる
  • 電話で大きな声で話す
  • 足音やドア、収納の開け閉めなど、生活音が普通以上に激しい
  • 何の音か判らないが、不快な音を立てる

あるいは、よく聞くのが…

  • 男女の夜の声が激しすぎる

「これじゃまったく眠れない」「勉強できない」「誰が住んでいるのだろう」「不安だ」「怖い」…
そうした際、どう動いたらいいのか? 対処法をお伝えしよう。

1.管理会社に伝えて対処してもらう

通常はこれがベストな方法だ。管理会社が存在する物件の場合、彼らはこうした入居者からの苦情対応を主業――いわゆる本来業務として請け負っている。遠慮なく、状況を伝えて対処してもらおう。

なお、その際ぜひ注意したいことがある。「隣がうるさい!なんとかしろ!」などと、ヒステリックに担当者を責め立てるようでは、それを言う本人こそが過剰に神経質なクレーマーなのではと、逆に疑問視されかねない。落ち着いて、冷静に、正確かつ具体的に現状を伝えることが大切だ。

「お手数ですが、ご対応願えますか。お隣の部屋の方が、週に2~3度は友人らしい数人を部屋に招いて、夜中まで盛り上がってしまい、話し声や笑い声がこちらにかなり響いてきます。眠れずに困っています」

「先週だと、水曜の夜9時頃から1時頃まで、金曜日は10時頃から翌朝の3時頃までそんな状態でした。管理会社さんにお伝えするため、先々週から時間をメモしています」

「一部はスマートフォンで録音してあります。必要でしたらお聴かせしますので、おっしゃってください」

――こんなリクエストがあれば、よほどだらしのない管理会社でないかぎり、すぐに動いてくれるだろう。

2.オーナー・元付仲介会社に伝えて対処してもらう

一方、管理会社が存在しない物件もある。大家さん=オーナーが、いわゆる自主管理をしている物件だ。

さらに、こんなケースもある。「管理会社は存在するが、オーナーとの契約上、入居者管理が業務に含まれていない」――たとえば、物件共用部分の清掃のみをその会社が請け負っているといった場合だ。

加えて、最近は少なくなってきているが、さきほどの自主管理オーナーからその物件の入居者募集をいつも任されている不動産会社が、オーナーへのサービスとして、ボランティアで管理会社的な仕事をしているケースもある。この場合、その会社は業界用語で「元付仲介会社」と呼ばれる立場に立っている。

すると、答えは自ずと出てくるわけだ。これらの場合、さきほど掲げたような管理会社へのリクエストをオーナーか、もしくは元付仲介会社に対して行うことになる。

3.相手に直接苦情をぶつける――がおすすめできなくなってきた理由

「管理会社? オーナー? まどろっこしい。オレは直接本人に言いに行くよ。それをきっかけに相手と仲良くなったことも昔はあったさ」

――60歳近い男性の声だ。

「私の場合、手っ取り早くその人の部屋のポストに『静かにしてほしい』と手紙を入れます」

――ある女性の声だ。

ちなみに、はるか昭和の昔、共同の炊事場やトイレのあるアパートのような環境ならば、「相手に直接言う」は普通だっただろう。わざわざ大家を経由して、などという行為は、「よそよそしく言いつけられたようで気分が悪い」――そんな感覚をもつ人も当時は多かったはずだ。

しかし、令和のいまは相手に直接苦情を言うのはおすすめできない。理由を3つ挙げていこう。

(1)他人から注意されることに慣れていない人が増えている

さきほどの「60歳近い男性」辺りの世代ならば、幾度も経験してきただろう。子どもの頃、近所の大人たちにしょっちゅう叱られたり、就職してからも会社で怖い上司から厳しい指導を受けたり…。しかし、いまは時代が変わり、そういった経験が少なかったり、皆無に近かったりする人もたくさんいることに注意が必要だ。気を遣いながら丁寧に苦言したつもりが、先方には驚くほど深刻に受け取られてしまうこともある。

そんなケースでは、相手のプライドに傷がつき、激高されるようなことももちろんあるが、一方でこちらが怖がられてしまうこともある。怯えた相手が退去したことで、本来の被害者の側が、「神経質に隣人を責めて追い出した」などと誤解される可能性があることにも一応注意を払いたい。

女性の入居者が、「自分で言うのは怖い」と悩み、男友達に代理で苦情を伝えに行ってもらったところ、「怖い人が来て脅された」と、話がややこしい方向にこじれた例もある。

(2)相手を間違える事故は意外に多い

特にマンションの場合、このことに注意が必要だ。鉄筋コンクリート造の建物では、ある場所での物音が、壁などを伝わって意外なところまで響いていることがあるからだ。

「床を叩くのをやめろ!と、乱暴に書かれた手紙をポストに入れられました。身に覚えがありません。怖いです――」

ある賃貸マンションに住む女性が、そう言って管理会社に助けを求めてきた事例がある。彼女の言うとおり、騒音源はまったく別の部屋だったのだが、建物の構造内を伝わって、音が思わぬところにまで届いていたという一例だ。

こんな例もある。

「ボン、ボン、と、壁から不快な音がときどき響いて来る。隣の部屋の住人のしわざと完全に思い込んでいたが、実は2フロア下の部屋でギターを鳴らしていた音だった」

さらに、「ほかの部屋で騒ぐ声が開けっ放しの窓から漏れているようで、隣の建物に反響し、こちらに響いてくる」といった場合も、音源の特定には細心の注意が必要となる。

(3)心の病や、身体機能の衰えが原因の騒音もある

いわゆる「心の病」が原因となって、騒音が発生している事例もよく耳に入る。たとえば――

「床下から激しく何かを突き上げる音がしょっちゅう響き、ノイローゼになりそうです」

実は、音の正体は天井をつつく物干し竿だった。下の部屋の住人が、上階の足音や生活音に過敏に反応し、そのたび「反撃」していたのだ。ちなみに、その“物干し竿”氏の部屋だが…

「室内がゴミでうずまった、汚部屋になっているんだそうです」

さらに、

「お隣のテレビが朝から大音量で鳴らされる」
「電話の声が異常に大きい」

こうした例では、その入居者が高齢で、耳が遠くなっていたというのが少なからずある答えだ。

どちらも、音を出している人の方も気の毒な事例だが、ともあれ、いずれの場合も当事者が直接話し合うよりも、間に管理会社等、第三者が入った方が、話がスムースに進むことが多いだろう。

4.これに気付くことも大事。転居が気軽なのが賃貸のメリット

さて、以上をお伝えしたところで、

「管理会社には状況を報せました。それでも問題は解決しません」

――そんなケースも残念ながらある。

たとえば、注意されても相手が反発し、言うことを聞かなかったり、管理会社やオーナーなどの対応が手ぬるいため、苦情を訴えている側の苦しい思いがちゃんと伝わっていなかったり…

そのように、問題が一度で解決しない場合、“被害者”側は「もしや報復があるのでは」と、逆に怖れることになったりもする。すると――

「仕方ない。こちらが退去しよう」

――そんな悲しい選択をせざるをえないケースも出てきたりするわけだ。

なおかつ、そうした場合、部屋を出て行く方は、新しい物件を探す手間が再び生じたり、余計な出費に見舞われたりで、ふんだりけったりの思いをさせられることが多い。

そのため、人生の中での比較的大きな失敗、あるいは思い出したくない不運な出来事として、そのことを記憶に刻む人も少なくないはずだ。

だが、そこでちょっと考えてみたい。

他人の騒音に悩まされての退去・転居となれば、何とも理不尽で腹立たしく、しかも自分が哀れで可哀想にも感じられてくるものだ。

しかし、それは半分正解だが、半分間違いといっていい。なぜなら、そんなときに気軽に(?)その環境から逃げ出せるのは、何といっても当人が「賃貸に住んでいるから」なのだ。これは、賃貸住宅のもつ実は最大のメリットといっていい。もっと言おう、絶大なメリットだ。

なぜか? いうまでもない。

もしもこれが自身の所有する一戸建ての持ち家だったり、まだ溢れるほどローンが残っている分譲マンションだったりしたらどうなるだろう?

気軽にそこを捨てて出ては行けない――そのことが、こうした住まいを手にする大きなリスクであることは、

  • ゴミ屋敷化した隣家
  • 深刻な近隣トラブル
  • 町内会や管理組合との軋轢

さらには、欠陥住宅・欠陥分譲マンションの発覚や、持ち家を襲う災害のニュースなどで、われわれはすでによく知るところだ。つまりは、所有のリスクとなる。

なので、以上は決して茶化したような話ではない。

「隣の部屋がうるさい!」

「だったらさっさと出て行けばいい。それこそが賃貸を選んだメリットなのだから。メリットを活かせ」

――ひとつの真実であることも、覚えておくのがよいだろう。

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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