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また起きた…札幌でアパート2階通路床が崩落、女性が落下しケガ オーナーは点検と対策を(1/2ページ)

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イメージ/©︎photoAC

床が割れて落ち、女性が落下

また起きた——と、いったところだろう。この7月6日に札幌市で発生したアパート2階通路の崩落事故だ。

外階段を上り、2階の部屋のドアを目指す小さな空間。そこで人々の足元を支える薄い床。アパート建築ではよく見られる構造だ。これが人の重さに耐えられず、割れた。2/3ほどが落下した。

割れた床とともに地面に落ちたのは59歳の女性だった。報道によれば「腕など複数箇所を骨折した」とのこと。入居者ではなく、市の広報誌を配りに来たアルバイトの方だった。

ちなみにアパートは築40年以上。かなり老朽化していたらしい。のみならず、解体が予定されていたため入居者はいなかった。女性はそれを知らずに階段を上ったようだ。

現場には、以前、立ち入り禁止の柵があったものの、事故発生の時点ではそれが無くなっていたとの情報もある。警察は業務上過失傷害の疑いで詳しい状況を調べている。(以上、事故当日および翌日の各メディアの報道からまとめている)

近年、毎年起きている賃貸物件での崩落事故

アパートで「足元が崩落、人が落下」といえば、記憶に新しいのが昨年の4月に起きた東京都八王子市での「アパート外階段崩落事件」だ。こちらは築古ではなく、築8年とかなり新しい物件で起こった。原因はこの建物を施工した会社による、きわめてずさんな工事だった。鉄骨製の階段と踊り場の接合部分に使われていた木材に、あってはならない腐食が起きていた。崩れた階段とともに地上へ落下した入居者は死亡。とりかえしのつかない事態となっている。

その前年(2020)には、北海道苫小牧市でアパートの外廊下が崩落している。事故に遭ったのはこの物件に住む家族。5人が、骨折するなどのケガを負った。幸い死者は出なかったものの、けが人の中には0歳児も含まれるなど、一歩間違えば悲惨な事件となるところだった。建物は築25年ほど。古いといえば古いが、床が抜け落ちるほど老朽化していても不思議ではないなどとは、到底いえないレベルだろう。 

さらにその前年(2019)、沖縄県那覇市で、鉄筋コンクリート造4階建て賃貸マンションの3階外廊下が崩落している。こちらも幸い死者は出ず、けが人もいなかったが、70代の入居者が部屋から出られなくなった。玄関ドアの前にあった床がきれいに消えたかたちとなったからだ。消防が駆け付け、助け出す騒ぎになっている。建物は築46年とのことで、かなり劣化していたようだ。

以上、ここ4年にわたって、全国に報じられるようなアパート・賃貸マンションでの外階段・外廊下の崩落事故が立て続けに起きている。しかも、述べたようにそれらは老朽化した物件のみで起きているのではない。八王子の事件のように、施工に手抜きや瑕疵が仮にあったとすれば、築後間もない建物でも当然事故は起こりうる。

オーナーは即点検を

こうした事件・事故の発生は、普段同様のリスクの存在を忘れがちな賃貸住宅オーナーにとって、皮肉なことながらありがたいものとなる。動く機会を与えてくれるからだ。 

早速、自らの物件を点検しに行こう。外階段、外廊下、手すりなどに危険が及んでいないか、ほかにも落下しそうなものはないかなど、入念に見て回りたい。

なお、その際は「自分が乗ってもビクともしないから大丈夫」などと、安易なモノサシで判断するのは避けたい。鉄骨製の外階段や踊り場の床がサビて膨らみ、形が変わっているような場合など、オーナーひとりがそこに乗って平気でも、複数人が乗れば簡単に崩れてしまうケースもある。

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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