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あの物件は住んじゃダメ…賃貸住宅の評判はどこで「クチコミ」されているか(2/2ページ)

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ここに住んではいけない!…の実例

1.「この物件はおススメしません。家賃は安いのですが、実は入居者のなかに時々奇声を発して物件内を徘徊する方がいらっしゃいます。ご覧のとおり空室が多いのは、怖がって退去する方が絶えないからです」

2.「この物件はおススメしません。ある階にゴミ屋敷になっている部屋があります。害虫が大量発生し、他の部屋に侵入しているとの話を聞いています。現状とてもご紹介できる状態ではありません」

3.「この物件はおススメしません。管理会社のいない自主管理物件であるにもかかわらず、オーナーがまったく掃除をしに来ません。そのためか、住人の生活もすっかり荒れてしまい、ポイ捨てがひどいので、見かねて町内会の方がトラブル覚悟で敷地内や共用部分に立ち入り、ゴミ拾いしている状態です。今後がかなり不安なので、当社ではこの物件の紹介は控えています」

若干補足しよう。現在、こうした客付け会社を訪れる入居希望者というのは、多くが事前にポータルサイトを検索し、いくつかの物件に目星をつけてから窓口にやってくる。そのため、スタッフの方もそれを前提に「このエリアで気になった物件ありますか? ウチで広告しているものも、それ以外のものも、どうぞ全部教えてください――」などと、冒頭から尋ねるケースがごくごく普通だ。

すると、入居希望者は「昨日ネットで拾ったのはこの3つです」などと、スマホを片手に物件を示すのだが、そこに並んだ中に問題のあるものが含まれている場合、客付け会社は上記のような情報提供を行うことになる。

つまり、繰り返すが、客付け会社にはオーナーに対する義理はなく、立場上もっとも大切にすべき「客」は目の前の入居希望者のみだ。そんな相手をあとでがっかりさせたり、怒らせたりするような物件は、この時点で紹介のテーブルから排除、ということになるわけだ。

プロのクチコミこそ最強

いかがだろうか。ちなみに客付け仲介会社といえば、90年代頃までのイメージが色濃い人など、「入居希望者がどんな物件に住もうが知ったこっちゃない。とにかく目先の契約だ。取っちまえ」――の勢いで、いわば乱暴・粗雑な仕事をする会社が多いイメージを抱く方も少なくないだろう。

しかしながら、いまは一部を除き、そういう業者が横行可能な時代ではなくなった。一般消費者と対峙する最前線の存在として、業界の顔となる自覚をもつ会社――と、いうよりも個人が、客付け仲介会社のスタッフには近年目立って増えてきている。

よって、“クチコミカルチャー”があまり盛り上がっていない賃貸の世界であっても、実はもっとも効き目のあるプロのクチコミが、そんなスタッフ達からユーザーに的確に提供されているということをオーナーはしっかりと自覚しておくことだ。

無論、クチコミには低評価のものもあれば高評価のものもある。入居者想いで評判のよいオーナーの存在もまた、当の本人が知らぬ間に、そんな現場ではたびたびクチコミされているものだ。

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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