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2025年に日本は沈む? 近代以降の日本を包む謎の「40年」ミステリー

朝倉 継道朝倉 継道

2022/03/12

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早くも罪深い年になった2022年

今年2022年は、早くも歴史の記憶に刻まれる年になっている。

核を持つロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、こともあろうにその存在と使用をちらつかせながらウクライナへ軍を侵攻させた。これによって、冷戦時代以降世界が保ち続けてきたひとつのバランスが崩れ去っている。


イメージ/©︎strebkov・123RF

バランスとは何か? それは「核」あるがゆえ、人類は紛争は起こせても戦争は起こせないとの論理による平和的均衡を指す。とはいえ、われわれは皆それほどバカでもない。そのことは論理というより希望に近いものであることも、もちろん多くが知っていた。

知ってはいたが、世界はこの希望に賭けていくことを長年にわたり黙契としてきたのだ(なのでテロ国家といわれる国でさえ核保有をあくまで自衛のためと叫ぶ)。

ところが、今回プーチン大統領は、呆けたふりをしているのか本当に呆けたのか、無神経にそこを突き崩した。この勝手なちゃぶ台返しは、世界を精神疲労させ、心を折るという意味でまことにやりきれないほど罪が深い。

日本は40年ごとにピークとどん底を繰り返す?

さて、そんな今年だが、壮観なことにあと3年で世の中は2025年を迎える。つまり21世紀ももう1/4が終わる。

この2025年という年は、ひょっとするとわれわれの日本にとって「どん底」であり、それとともにターニングポイントになる年かもしれない。

理由は、実にくだらない偶然話だ。なので、以下はあくまで居酒屋談義のネタとして楽しんでほしい。すなわち、不思議なことに近代以降、われわれの国はピタリ40年ごとにどん底とピークを繰り返すという面白い歴史を辿っている。

 

1905年・日露戦争の勝利

まずは1905年だ。2025年からさかのぼるとちょうど40×3=120年前となる。この年といえば、日本は日露戦争に勝利している。

そのわずか半世紀前、アメリカの黒船「たった四杯」に脅かされ、それをきっかけに国のかたちまでひっくり返されてしまった日本が、いわゆる坂の上の雲を目指して死に物狂いで近代国家をつくりあげ、ついには世界の大国のひとつを戦争で破ってしまった。すなわち一等国化した。

それはまさにオリンピックでの快挙やワールドカップ優勝といったものの比ではない。わが国の歴史上、国民のもっとも多くが湧き、狂喜したのがこの1905年のはずだ。

 

1945年・第二次世界大戦での敗北

ところが、そのちょうど40年後に今度はどん底がやってくる。

1945年、第二次世界大戦が終結した。爆撃によって日本の都市は多くが焼け野原となり、このうち広島と長崎では人類初の核爆弾が炸裂した。2つの街は一瞬にして壊滅し、十数万人以上の命が失われた。日本はこれらにより無条件降伏というきわめて破滅的な選択を受け容れざるをえなかった(明確に無条件だったかについて議論はある)。

 

すなわち、この1945年というのは、わが国が滅亡を覚悟し、事実その一歩手前を経験した意味で史上もっとも深いどん底の年だったといっていい。

 

 

1985年・ジャパン・アズ・ナンバーワンが現実化した年

上記、終戦のちょうど40年後といえば、1985年に当たる。戦後復興と高度経済成長、さらにはオイルショックの克服を経て、日本の経済力はこの頃世界を席巻するまでの勢いとなっている。

有名な『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(エズラ・ヴォーゲル著)が世に出たのはすでにこの6年前のこととなる。そのジャパン・アズ・ナンバーワン(=No.1たる日本)を超え、ジャパン・イズ・ナンバーワン(=日本がNo.1)がもはや目の前である旨、ひそかに“覚悟”をかためる人もこの頃には出始めていたはずだ。

そのひとつに、例えば『沈黙の艦隊』という漫画がある(かわぐちかいじ・88年より連載)。漫画がその所掌するテーマにおいて文学を完全に超えたメルクマールといっていい作品だが、この中ではひとりの日本人が、常設国連軍の創設を過激な方法で提案する様子が描かれる。ジャパン「イズ」ナンバーワンを目前にした不安と高揚感の上にかたちづくられた、まさに時代の鏡といってよいだろう。

そんな、ジャパン・アズ or イズ・ナンバーワン時代のおそらく鍵となったのが、この年(85年)ニューヨークで行われた先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議による為替レート安定化合意、いわゆる「プラザ合意」となる。これを期に、主に国内地価によって醸成された日本のマネーがどっと世界にあふれ出た。安田火災によるゴッホの「ひまわり」落札(87年)、三菱地所によるロックフェラーセンターの買収(89年)、ソニーによるコロンビア・ピクチャーズ買収(同年)といった象徴的な「事件」が、このあと立て続けに起こることとなる。

なお、プラザ合意は、日本経済のいわば勝利を祝うファンファーレであったとともに、構造的にはその後少ししてから始まる日本の長期経済低迷の始まりと見るのがおそらく正しい。よって、これが成立した1985年は、まさに40年前のどん底から這い上がった結果としての日本のピークの年となるはずだ。

ちなみに、プラザ合意の40年前にも「ヤルタ会談」が、その40年前にも「ポーツマス会議」が、その後の日本の運命を決めている。3会議、ピタリ40年ごとだ。

 

2025年・何が起きる年?

さて以上、1905年、1945年、1985年と、40年ごとの出来事を追ってきた。すると、次の40年目となる2025年には何が起きそうなのか? 

それは、もちろん判らない。3年前となる今年には、冒頭に示したとおり人類史上きわめて意味の深い戦争が起きた。だが、それが3年後の日本にどう影響して来るのか、影響しないのか、いまのところまったく予想はつかない。

ただ、ひとつ確実なこととして、2025年といえば、国内的にはいわゆる「2025年問題」がスタートする年となる。それは、この年「約800万人いる団塊の世代の人々が後期高齢者になる」という現実だ。超高齢社会のまさに本番がこの年いよいよやってくることになる。

すると、当の団塊世代の皆さんからは、「われわれの高齢化イコール、日本がどん底とはひどいじゃないか」と苦情が出そうだが、そういう話ではない。さきほどまでの40年周期の話はあくまで偶然のことだ。繰り返すが、居酒屋談義のネタであり、くだらぬ茶飲み話であるに過ぎない。

そこで、そんな偶然を証明するために、もうひとつある年の出来事を拾ってみよう。1865年だ。日露戦争勝利の40年前で、時代は幕末となる。近代ではなく、もはや近世だ。

 

1865年・幕末のもっとも暗かった年?

さて1865年、この年どんなことがあったかといえば……?

なんと、面白いことにあの怒涛の幕末史にあって、ひときわ静寂に包まれているのがこの年となる。さほど事件がない(ただしローカルでは長州正義派のクーデター、土佐勤王党の事実上の壊滅が生じている)。

対して、前年(1864)はものすごい年だった。あの新選組の池田屋事件のあと、ほぼ内戦といっていい禁門の変で京都が焼け、長州藩と英仏蘭米連合軍による馬関戦争(こちらは対外戦争)も勃発、その後すぐさま第一次長州征伐の号令がかかっている。

加えて、実は翌年(1866)もすごい。薩長同盟の成立、第二次長州征伐で幕府が事実上の敗北と、この年より倒幕・維新に向けて時代は大きく動き出している。

つまり1865年というのは、幕末史において、俗に「夜明け前が一番暗い」といわれるタイミングにどうやらあたっている。

すると、おや? やはりこの年も40年ミステリーの一部……?

ともあれ、興味深い2025年は、われわれの目前にまで迫っている。

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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