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団塊の世代を洗った定年の波 調査対象全員が高齢者となった「中高年者縦断調査」(2/2ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/12/15

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4世帯に1世帯が「親なし子あり」は不思議? 納得?

次に世帯の状況を見ていこう。過去より増加の度合いが著しいのが「夫婦のみの世帯」と「単独世帯」だ。

調査対象者が50~59歳だった第1回調査において、「夫婦のみの世帯」の全体に占める割合は21.4%だった。それが今回(第16回)は45.9%と、大幅に増えている。

同じく「単独世帯」はかつては4.8%だったが、今回は11.6%とこちらも倍以上の増加となっている。すなわち、両方合わせて57.5%=6割近くが、現在は2人以下で暮らす世帯となっている。

なお、以上の変化については、子どもの独立やパートナーの死去といったその理由が容易にイメージしやすい。

一方、不思議な数字もある。「親なし子ありの世帯」のデータだ。

第1回調査では39.4%となっていて、調査対象者が当時50代であったことを想うと、「独立前の子どもがいる家庭が4割近く」との理解で、さほど違和感は生じない。

だが、その後15年が経った今回分でも意外に数字は下がっておらず、24.0%となっている。あくまで私個人の印象だが、こちらは何とも「違和感アリ」だ。

なぜなら、今回分の調査対象年齢である65~74歳の親の子どもといえば、私が知るケースを思い浮かべる限り、皆とうに独立し、親元には住んでいない。一方で、親の介護のため子どもが実家に帰って来るといった例も、この年代の親たちにあって、私は未だその始まりを見ていない。

然るに、上記における24.0%=約4世帯に1世帯という割合は、印象としてかなり大きいと感じざるをえないのが正直なところだ。

とはいえ、これは当調査において厳密かつ現実に拾えている数字であって、その意味において正確なものだ。自身の見聞きする範囲のことと比べ、私が勝手に悩んだところで、それはまさに栓ないことというほかないだろう。

なお、上記24.0%の想像される内訳としては、子どもが単身で親元に暮らす場合と、結婚した子ども夫婦が親の家に同居している場合が主に考えられる。

そこで、前者を想うとき、ニートやひきこもり、さらには「子ども部屋おじさん(おばさん)」等を思い浮かべる人も多いと思われるが、当調査はあくまで親世代の人生にフォーカスしているため、そちらは掘り下げの対象とはなっていない。 

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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