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これからの街づくりと待ったなしの“老朽化マンション”再生問題(5/6ページ)

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住人・マンションともに「高齢化」

団地だけでなく、老朽化したマンションも多くの問題を抱えている。高度成長期に勢いよく建てられ続けたマンションも、いまや築年の古い“老朽化マンション”となり、膨大な数に上ることが分かった。

築後30、40、50年超の分譲マンション戸数


出典/国土交通省「築後30,40,50年超の分譲マンション戸数」を基に作成

このデータによれば、20年末時点で築40年超のマンションは103.3万戸。それが10年後には、倍以上の約231.9万戸に。さらに10年後は、4倍以上の約404.6万戸にまでなると推計されている。マンションは戸建てより外壁の剥落などの危険性や、費用の掛かる大規模修繕が生じるうえに、個人の意見で修繕や建て替えなどを決定できないマンションも多い。さらに、所有者が高齢化し空き家も増えていくことになれば、修繕、建て替えの意見がまとまらず、再生が進まなくなる。

「成熟した良好な環境を安全に、適切に維持管理していくことを大前提として、どのように高齢化、廃墟化させず再生していくかという課題に時間的猶予はなく、早急に取り組まなくてはなりません」(長谷川氏)

「平成30年マンション総合調査」によると、ストック総数の34.8%が、修繕積立金が不足しているとされる。それだけでなく、住民が高齢化して管理組合の担い手不足の問題、組合が私物化されて修繕計画が破綻しているケースも多いという。さらに、当初計画されていた長期修繕計画が遅延され、計画の見直しをしなくてはならないケースもある。

このような状況で、長期間にわたり手入れがなされていない老朽化マンションは、“時代遅れ”な設計や設備が受け入れられず空き家化が進行し、外壁の剥離や落下事故という居住者だけでなく周辺住民にまで及ぶ危険性をはらみ、もはや修繕だけでは解決できず、最終的な選択肢は「建て替え一択」となってしまうのだという。

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