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〜この国の明日に想いを馳せる不動産屋のエセー〜

パラリンピックから考える、障害と不動産業(2/4ページ)

南村 忠敬南村 忠敬

2021/09/17

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スポーツという分野は、子どもたちの教育上も重要だから、スポーツマンシップ、正々堂々、フェア精神など、競技の前提条件?がやたらとクローズアップされ、競技を通して観る者に何(感動?)を与えるのか、が重要視され過ぎている。

そこの賛否は触れないとして、スポーツ≒競技(洗練された技を競う)であって、決して“命を賭けた戦”ではないのに、現場ではやはり戦っている感が物凄く強い。国が違えば、ゲームに負けたチームや選手が襲撃、殺傷されたり、成績が振るわなかった責任を取らされ、処刑の対象となったり、というような物騒な話も尽きない。美談、美徳に酔う一方で、悪徳且つ残酷で、邪悪な心を満足させ得る娯楽として重宝されてきたからこそ、人間社会の歴史と共に発展し、政治利用までされてきたのだろう。


スポーツマンシップがクローズアップされやすい高校野球 イメージ/photo AC

そんな、スポーツの本質ともいえる部分を前面に押し出しているのが、パラスポーツのある種の面白さだと教えてもらったから、先に行われたオリンピックよりもパラリンピック競技の方を多く視聴した。

生まれて初めて心底から一つ一つのパラ競技を注意深く、そして興味深く楽しませてもらった。“ボッチャ”なんて知らなかったが、実に面白い競技だと思った。だから、下馬評に反してメダルに届かなかったり、不振な成績で終わった競技には正直に落胆し、「おいおい、もっとレベル上げろよ!」と叱咤の言葉が口を突いたことも障がい者スポーツ観戦では初めての経験だった。「酷い!」「可哀そう!」などと批判しないでもらいたい。

拙者は思う。世界最高峰の舞台に選ばれて出てくる選手たちであるから、観衆としては(当然、無責任に)期待しているのだ。日の丸背負ってんだろ!ってね。ふがいない在阪球団の先発投手を容赦なく野次る、あの感覚と全く同じ感情をむき出しで応援したパラリンピックは、拙者に新しいスポーツの楽しみ方を教えてくれた。

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この記事を書いた人

第一住建株式会社 代表取締役社長/宅地建物取引士(公益財団法人不動産流通推進センター認定宅建マイスター)/公益社団法人不動産保証協会理事

大学卒業後、大手不動産会社勤務。営業として年間売上高230億円のトップセールスを記録。1991年第一住建株式会社を設立し代表取締役に就任。1997年から我が国不動産流通システムの根幹を成す指定流通機構(レインズ)のシステム構築や不動産業の高度情報化に関する事業を担当。また、所属協会の国際交流部門の担当として、全米リアルター協会(NAR)や中華民国不動産商業同業公会全国聯合会をはじめ、各国の不動産関連団体との渉外責任者を歴任。国土交通省不動産総合データベース構築検討委員会委員、神戸市空家等対策計画作成協議会委員、神戸市空家活用中古住宅市場活性化プロジェクトメンバー、神戸市すまいまちづくり公社空家空地専門相談員、宅地建物取引士法定講習認定講師、不動産保証協会法定研修会講師の他、民間企業からの不動産情報関連における講演依頼も多数手がけている。2017年兵庫県知事まちづくり功労表彰、2018年国土交通大臣表彰受賞・2020年秋の黄綬褒章受章。

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