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「コロナ禍モード」を脱せない商業地が東京と大阪に集中――国交省の地価LOOKレポート(2/3ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/09/06

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一方、商業系地区では上昇が11地区(前回10)、横ばいが28地区(前回31)、下落が29地区(前回27)で、下落が前回よりも増している。さらに、変動率区分が上方に移行した地区は6地区、下方に移行した地区は4地区ということで、これを前回分と比べると「上方移行」で9地区の減、「下方移行」で2地区の増となっている。すなわち、コロナの影響から早々に抜け出しつつあるかのように見える住宅系地区に比べ、商業系地区の回復は難航中といえるのが現状だ。

商業系地区下落の特徴

いま述べた、商業系地区の難航については、ひとつの特徴を挙げることができる。それは、回復ままならず足踏みを続ける東京・大阪の2大都市圏と、他の大都市圏との間のコントラストだ。データを抜粋していこう。〇が上昇、△が横ばい、×が下落とし、前回分(令和3年第1四半期)と今回分(同第2四半期)のデータを並べていく。まずは「他の大都市圏」だ。

「他の大都市圏」(札幌・仙台・名古屋・広島・福岡)

出典/国土交通省「地価LOOKレポート」を基に著者作成

このとおり、東京圏、大阪圏以外の他の大都市圏では、前回・今回にわたり、下落の「×」はひとつも出てこない。10地区中、5地区が「〇〇」の連続上昇、5地区が「△△」の連続横ばいとなっている。

では次に、東京圏と大阪圏のうち、東京圏の状況を示そう。なお、先に記すと「他の大都市圏」では見られなかった下落の「×」が、こちらではどっと出てくる。特に東京の区部に「×」は集中しており、都心ほどに地価の沈み込みが重い様子を要は示している。

「東京圏」(埼玉・千葉・東京・神奈川)

出典/国土交通省「地価LOOKレポート」を基に著者作成

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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