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京都市が直面する3つの危機とは——厳しさを増す「若い世代に選ばれる千年都市」への実現(2/4ページ)

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京都市内での住宅購入を諦める子育て世代

2010年代以降のインバウンド拡大で京都に外国人観光客があふれる中で、ホテルの建設ラッシュや外国人による町家などの不動産取得が続き、そのあおりを受けて市内の地価が上昇し、住宅取得価格が跳ね上がってしまった。市内の住宅地の公示価格はコロナ禍で2020年こそ0.4%のマイナスに転じたが、まだまだ高い。

2021年の住宅地の平均価格は中心5区(北区、上京区、左京区、中京区、下京区)は1㎡あたり28万1000円で、コロナ禍にもかかわらず前年よりも600円アップしている。残りの周辺6区は17万800円で、こちらは下落したとはいえわずか900円のマイナスだ。

そのため、子育て世代を中心に市内での住宅購入をあきらめ、京都市内よりも地価が安い滋賀県の大津市や草津市などへ転出する動きが続いているのだ。

過去の人口動態をベースにした京都市の推計では、2035年には人口が130万人を割り込むとなっている。

三重苦の2つ目、観光客数の減少について見ていこう。

年間観光客数が5600万人(日本人+外国人)を超えていた2015年をピークに、京都の観光客数は2018年まで微減し5275万人に。2019年は5352万人に盛り返したが、コロナ直撃で2020年は統計さえ集計できない状況となってしまった。(データ出典は京都市観光協会)

京都市の宿泊人数の推移

出典/京都市都市観光協会
単位:万人

京都の街からインバウンドが完全に消えた。「外国人宿泊ほぼゼロ」が2020年4月以降15か月続いている。

最新の状況も厳しい。2021年6月のデータは次の通り。

日本人延べ宿泊数   2019年6月比43.3%減
外国人延べ宿泊数      同    99.8%減
主要ホテル客室稼働率 20.6%(同60.2ポイント減)
客室収益指数     1857円(同82.9%減)

惨憺たる数字だ。インバウンド消失だけでも大打撃なのに、毎年安定した収入源になっていた修学旅行も激減(前年比77.6%減=2020年)した。さらに一般の日本人観光客も半減。ひところ大問題となった観光公害は解消されたが、世界遺産の街の観光はまさに閑古鳥状態だ。

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