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無観客の「空箱五輪」後を契機に暗雲 一棟借り商業ビルの“空箱化” 秋から再来年にかけて、東京・大阪で続出か!?(1/4ページ)

浅野 夏紀

2021/07/17

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無観客で開催される「空箱五輪」。写真は国立競技場/©︎tobusora・123RF

ヤマダ電機「LABI新宿東口館」閉店の余波

「ついに恐れていた都心一等地の“空箱地獄”が始まりましたね」

「ビルに店舗が入らないなら客はゼロで、店員もゼロ。競技場に選手が来ないようなもの」

「無観客の五輪でも選手はいるのに」

都内のテナント誘致相談にかかわる外資系金融マンらは最近、こう漏らした。“空箱”とは、一棟借りのテナントがすべて抜けて、空きビルになってしまうことを意味する。

1~2年後、東京の銀座や表参道、大阪の梅田、心斎橋などのハイスペック商業ビルのなかに、丸ごとテナントを失う事態を迎えようとしている物件が出そうだというのである。その情報はまだ、ほんの一握りの関係者しか知られていないが、都内では銀座のほか、池袋や渋谷でもそうした情報が出始めている。

とくに危険なビルは、商業ビルの10階建て前後の全フロアを、ほぼ1社の有力テナントに頼っているケースだ。

ワクチン接種が進む海外では、消費が上向きになっているが、日本でワクチン接種が進んでも、こうしたビルオーナーにはその恩恵は望めそうもない。

すでに新宿では、靖国通り、新宿大ガードの横にあったヤマダ電機「LABI新宿東口館」が閉店した。そのあとに入る後継テナント探しは困難を極めており、新宿の不動産会社が仲介業者はみな「まったくのお手上げ」だと匙を投げる。


2020年10月に閉店した「LABI新宿東口館」 撮影/編集部

この新宿東口館の閉店発表があった2020年9月には「ヤマダさんの新宿ショックはほかのエリアにも必ず広がる」と不動産業界関係者は話していた。それから半年以上、東京はもとより、大阪の大きな商業エリアでも、こんなに早く大口テナントの閉店、撤退が伝播することは不動産関係者の想像を超えていた。すでに東京都心では、次の大型電気店の撤退懸念が囁かれる。

こうした一棟借りのテナント撤退が相次ぎそうな理由は、08年のリーマンショック後に、ビルオーナーとの間で結ばれた、10年~15年という賃貸契約がそろそろ満了を迎える時期に入ってきていることもある。

そのためビルオーナー側がこうしたテナントに家賃の現状維持を前提に再契約を確認すると、「再契約はいたしません」というニュアンスの答えが多かったという。

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この記事を書いた人

経済アナリスト・作家・不動産小説家

経済アナリスト・作家・不動産小説家。 1963年生まれ。東京都心在住。オフィス・ホテル・商業施設・公有地・借地等の不動産の分析、株など資産市場の分析に詳しい。住宅業界のカリスマ事業家が主人公で、創業者まで徹底的に切り捨てる政権の歴史的な不良債権処理の暗闘局面などを明かした『創業者追放~あるベンチャー経営者の風雲録』などの作品がある。

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