マンション、タワーマンション、テラスハウス…住まいの呼び方、ただいま混乱中(4/4ページ)
朝倉 継道
2021/07/05
ところが、最近、テラスハウスという言葉が一部で暴走(?)を始めているらしい。テレビ番組のタイトルになり、一躍有名になったことで、そこに出てきた「シェアハウス」をテラスハウスと思い込む人が増えてきたという。
さらには、タウンハウスがテラスハウスに吞み込まれてきてもいるようだ。タウンハウスのオーナーが、「うちはテラス。タウンハウスってなんですか?」と、近ごろそんな声も耳にするようになっている。
ちなみに、テラスハウスとタウンハウスの所有形態の違いにあっては、いま記したとおり、住戸を借りる人にとってはほとんど意味がない。そのことも、言葉の混乱に拍車がかかっていく要素のひとつといえるだろう。
内見・内覧・内覧会 違いはある?
以上、近年巷で混乱している住まいの呼び方3つを挙げてみた。
そこで、冒頭に掲げた2つの記事だが、事件はいずれも賃貸物件で起こっている。つまり、ここに記されている「マンション」は、賃貸マンションを指している。
しかしながら、それらのニュースの記事文中では、賃貸で多く使われる「内見」ではなく、「内覧」という、どちらかというと購入物件を連想させる言葉も使われている。そのことも相まって、これらの記事は、読む人に若干イメージが伝わりにくいものとなっている。
賃貸マンションの「内見」あるいは「内覧」、中古マンションの「内覧」、新築分譲マンションの「内覧会」と、言葉は同じだったり、似ていたりしていても、人々が思い浮かべる風景はそれぞれに違う。そこで起きたことについても、イメージは大小違ってくることになるはずだ。
この記事を書いた人
コミュニティみらい研究所 代表
小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。