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マンション、タワーマンション、テラスハウス…住まいの呼び方、ただいま混乱中(3/4ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/07/05

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そのため、「日本で最初のタワーマンションは?」となると、はるか1976年という昔に建てられた、昭和レトロな物件が該当してしまう。埼玉県与野市(当時)の「与野ハウス」(66m)だ。

すると、「いやいや、タワマンのさきがけといえば、もっとあと。バブル期の後半を飾った東京の『大川端リバーシティ21』あたりでしょう」と、そんなイメージを抱く向きからは、60m基準は何やら違和感いっぱいな、モヤモヤした数字とならざるを得ない。

ちなみに、大川端リバーシティ21エリアに並ぶタワー型のマンションといえば、100mを超えるものが林立している。ここまでになると、その姿かたち、ともに「タワマン」であることに異論を差し挟む人はいないはずだ。

そこで、タワーマンションには実はもうひとつ、定義候補とされるマイナーなモノサシが存在する。それは「高さ100m超」というもので、根拠は消防庁によるヘリコプター屋上緊急離着陸場の設置要請のための基準となる。

60m・20階よりもこちらの方が、私も断然しっくり来るのだが……。

意味が膨張? 暴走中の「テラスハウス」

「テラスハウス」の定義といえば、不動産・建築業界では昔からほぼ決まっている。プロが最初に習う、イロハのイのうちのひとつといっていいだろう。

その姿といえば、一戸建てスタイルの家が壁のみ隣の住戸と接し合い、横長になって仲よく並んでいる。住戸ごとに、外に通じる専用の玄関も備えている。いわゆる「長屋」のかたちだ。なおかつ、テラスハウスでは、住戸の下の敷地も他と分筆され、住戸ごとの所有権が確保されている。よって、各戸に庭がある場合、そこは共有・共用ではなく、専有・専用の庭ともなるわけだ。

テラスハウスのイメージ/©tang90246・123RF

一方、テラスハウスと似たものにタウンハウスがある。こちらは、見かけはテラスハウスに似ていても、権利の形態が異なっている。すなわち、住戸は区分所有。土地は共有。各戸の持ち主が皆で敷地全体の所有者になるという、分譲マンションと似たかたちが普通だ。

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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