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コロナ禍、新法成立で厳しい状態が続く大東建託、レオパレス21、生き残り策は?

浅野夏紀

2020/07/10

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旧村上ファンドからも見放された? レオパレス21

賃貸住宅建設を地主らに提案し、完成後に自ら借り受けて転貸するサブリース大手のレオパレス21の株価が7月初旬に急落し、連日、170円あまりの年初来安値を更新した。

そのきっかけは6月末に明るみに出た同社株の大量保有報告書だった。旧村上ファンド系の投資会社などの共同保有3社の持ち分が複数回にわたって売却され、持株を13%程度まで低下させたのだ。この旧村上ファンドの株放出後、同社の株価の軟調が続く。市場では「不振の家具会社を買収した家電量販が再建の受け皿になる?」といったM&Aの噂も出ている。

レオパレス21では希望退職1000人を募集、2020年3月期の業績は純損失(最終赤字)が802億円に達し、今期も赤字で3年連続の最終赤字に沈んだ。こうした状況下、18年5月に明らかになった界壁のないアパート手抜き工事問題に端を発した顧客の大家から集団訴訟も抱える。しかし、界壁の改修工事が完了したのはいまだ2割程度と問題山積で解消されていない。しかも、収益源の賃貸収入はというと、入居率は損益分岐点とされた8割を切り、苦しい状態が続く。自己資本比率はついに1%を割り込み、「経営悪化でサブリースの家賃保証はどうなる」と顧客の大家は戦々恐々としている状態だ。

大東建託はインバウンドを狙ったミニホテル建設に乗り出して

一方、レオパレス21のライバルでもある賃貸住宅サブリース最大手の大東建託は、旧築地市場跡地の脇の場外市場で30室程度のミニホテルの建築を請け負い、用地に建つ古ビルの解体が始まっている。完成予定は22年秋。コロナ禍で訪日客が完全に築地に戻っているか微妙な時期だが、大東にとってはアパート建設以外のこの現場には大きな意味がある。

築地で進む大東建託のホテル建設

そもそも大東建託はレオパレス21に比べ、利幅のよい建築部門が収益の大きな柱のゼネコン型サブリース。そこで築地場外のような賃貸住宅以外のホテル建設の受注を狙った。しかし、コロナ禍でインバウンド需要が落ち込み、ホテルのほうが青息吐息で、そのアテがはずれそうなのだ。しかも、工事の採算は、素人相手の賃貸住宅の建設ほど甘くはなく、当初描いた目論見通りに進みそうもない。

前門の“物言う株主”、後門の「賃貸住宅の管理業務適正化法」

このようにサブリース大手2社ともに苦戦が続く。加えてこの2社にはともに主要株主が外資やアクティビスト(物言う株主)に占められている。こうしたプロ株主は、企業ガバナンスも利益(配当)も求める。

そんな三重苦、四重苦にあえぐレオパレス21、大東建託をさらに追い込む法律が、6月に国会を通過した。それが「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」で、1年以内に完全施行される見込みだ。法施行のタイミングと法律の即効性についてはサブリース会社に融資してきた銀行や事業者の破たんを恐れる賃貸住宅オーナーには重大な関心事だ。もちろん、株式市場も「即効性」に着目する。

新法によって賃貸住宅の管理受託をする事業者は大臣登録が必須となり、住宅管理業者は、業務責任者を細かく配置し、契約時にオーナーに契約内容を記載した書面を出さなければければならなくなった。さらに敷金と家賃の分別管理が課され、帳簿の備付、オーナーへの定期報告義務もあり、違反には刑事罰もある。顧客側の判断に影響を及ぼす重要事項説明については、故意に事実を告げないことも禁止される。加えてサブリースについての契約を締結する際の事前の書面説明と、契約締結後の書面交付も求められる。

この結果、これまで見えにくかったサブリース会社の「経営が丸裸にされる」恐れがあるのだが、罰則は「原則としてすべて両罰規定になっている」のだ。両罰規定とは、従業員や代理人(サブリース営業では建設会社や不動産会社が代理店として営業を行っている)などが違反行為をしたら、従業員、代理店ともに罰するとともに、雇い主である事業主も罰金刑にするもので、そのことで事業継続は困難にもなる。大手サブリース会社では、営業者社員へのノルマが厳しいといわれる。中でも大東建託については、そのすさまじい営業現場の暴露本も出版され、業界内では話題にもなった。

一方、サブリースの賃貸住宅の市況に目を転じると、コロナ問題で若年層・非正規労働者の雇用不安(雇い止め・解雇など)で、サブリース住宅が入居者を失う、あるいは入居者の家賃支払いが滞る事例も頻発、厳しい状況が続く。

今回の法的規制は、大資本でありながら“賃借人”として借地借家法で厚く守られてきたサブリース会社と賃貸住宅オーナーの逆転状態見直しの第一歩となる。一方、サブリース会社にこの新法とコロナ禍のダブルパンチでまさに泣きっ面に蜂の状態だ。そこでレオパレス21は7月以降に東京のほか需要の高い地方において、周辺相場の動向を見ながら家賃引き上げの検討を行っているという。加えて、事業面に改善が見えなければ、賃貸住宅オーナーへの家賃保証料の引き下げも視野に入りそうなためオーナーにとっては死活問題だ。しかし、レオパレス21に対する目はオーナーだけではなく、経営再建中なだけにその動向は業界のみならず、市場関係から注視されている。

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この記事を書いた人

経済アナリスト・作家・不動産小説家

経済アナリスト・作家・不動産小説家。 1963年生まれ。東京都心在住。オフィス・ホテル・商業施設・公有地・借地等の不動産の分析、株など資産市場の分析に詳しい。住宅業界のカリスマ事業家が主人公で、創業者まで徹底的に切り捨てる政権の歴史的な不良債権処理の暗闘局面などを明かした『創業者追放~あるベンチャー経営者の風雲録』などの作品がある。

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