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『メインストリーム』/一般の人がSNSでカリスマに そのときに人はどう変わるのか?(3/3ページ)

兵頭頼明兵頭頼明

2021/10/06

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コッポラの孫、ジア・コッポラの手堅い演出

監督は、本作が長編第二作となるジア・コッポラ。彼女は『ゴッドファーザー』(1972)や『地獄の黙示録』(1979)の監督フランシス・フォード・コッポラの孫にして、『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)や『SOMEWHERE』(2010)の監督ソフィア・コッポラの姪である。ジア・コッポラの演出は手堅く、奇をてらったところはない。

気まぐれなネット住人たちの間で名声を得ることに快感を覚えながら、自分を愛してくれない男を愛してしまった女。その女を陰から支える男。そして、暴走するカリスマ。彼らの姿が丁寧に描かれてゆく。


(c)2020 Eat Art, LLC All rights reserved.

リンクを演じるアンドリュー・ガーフィールドは2012年に『アメイジング・スパイダーマン』で主役を演じ、ブレイクしたスターだ。時に不快感を与えながらも万人を魅了する怪しいカリスマを好演している。本作は低予算の作品だが、リンク役を『アメイジング・スパイダーマン』や『ハクソー・リッジ』(2017)のような大作の主演スターが演じたことで、作品に厚みが加わった。

映画は時代を映す鏡である。本作はネット社会に警鐘を鳴らす問題作ということになろうが、むしろ、夢を追い求める“今の”若者たちを描いた青春映画の小品として楽しんでほしい。


『メインストリーム』
監督・脚本:ジア・コッポラ
出演:アンドリュー・ガーフィールド/マヤ・ホーク/ナット・ウルフ/ジョニー・ノックスヴィル/ジェイソン・シュワルツマン/アレクサ・デミー/コリーン・キャンプル
配給:ハピネットファントム・スタジオ
10月8日より公開
公式HP:https://happinet-phantom.com/mainstream/

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この記事を書いた人

映画評論家

1961年、宮崎県出身。早稲田大学政経学部卒業後、ニッポン放送に入社。日本映画ペンクラブ会員。2006年から映画専門誌『日本映画navi』(産経新聞出版)にコラム「兵頭頼明のこだわり指定席」を連載中。

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