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分譲賃貸とは? 高品質・充実仕様の「持ち家」を借りて住むメリットと注意点(1/2ページ)

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イメージ/©︎rilueda・123RF

部屋探しのとき見かける「分譲賃貸」って? 

賃貸物件を探していると「分譲賃貸」という言葉が目に留まることがある。「普通の賃貸ではなく分譲賃貸を積極的に探しています」という人も、なかにはいるかもしれない。

この記事では、分譲賃貸について、そこに住むメリットや注意点を解説していきたい。なお、分譲賃貸については、「分譲賃貸マンション」と書かれることも多いが、この記事では「分譲賃貸」で以下の表記を統一したい。

ちなみに、賃貸集合住宅といえば、どうしても付きまとうのが騒音に関する悩みだ。隣人騒音、建物周辺からの騒音……それらから逃れるためにも、分譲賃貸はよい選択肢になることがある。

分譲賃貸とは?

分譲賃貸とは、いわゆるマイホーム用として買主の自己使用を目的に売買された分譲マンションの部屋が、何らかの事情により、賃貸物件として貸し出されているものをいう(これが基本のかたちだ。そうでないものについて記事の最後に触れたい)。

例えば、転勤だ。「家族でこの部屋を離れるが、数年後に戻ってくるまで遊ばせておくのはもったいない。誰かに貸したい」といったケースが、分譲賃貸が生まれる主な理由のひとつとなる。

相続が原因のこともある。「親から相続したマンションだが、相続人である私は当面住まない」といった場合、これが賃貸に回ることも少なくない。ほかには、投資目的だがあえてそうした物件をオーナーが選んで購入し、所有しているケースもある。加えて、新築分譲後、売れ残った部屋をデベロッパー側が賃貸で運用するといった例も、なかにはあったりする。

ともあれ、いずれにしても借りる側としてみれば、マイホーム=一生の棲家としての使用が想定されたグレードの高い物件に暮らせることになる。

一方、建物の老朽化や、それに対するコストの不安など、資産を持つ者としてのリスクが生じないため気が楽だ。

「分譲賃貸を積極的に探しています」という人のねらいのひとつは、そこにあったりもするわけだ。 

「マイホーム」仕様ならではのメリット

以上のとおり、もともと買主自身が暮らすマイホームとして建てられた分譲賃貸には、一般の賃貸マンションやアパートに比べ、建物のつくりや環境面でのメリットがとても多い。

まずは構造面だ。部屋は通常、分厚い鉄筋コンクリートや高性能な窓、高品質な玄関ドアや床などに囲まれ、木造アパート等に比べると遮音性能や断熱性能が格段に高い。

物件管理についても、例えば管理人やコンシェルジュが常駐するようなマンションだと、美化・清掃の面、セキュリティの面など、通常の賃貸を大きく超える環境を得られることも少なくない。

設備もまた然りだ。ハイグレードで高機能なバスルームやレストルーム、キッチン、さらには床暖房やディスポーザー、ビルトイン式の食洗機といった、分譲マンションならではの贅沢仕様が味わえるチャンスも多い。

加えて、耐震性や防火性能といった面でも分譲賃貸は心強い。建物の古さ・新しさには左右されるものの、同じ時期に建てられた一般の賃貸住宅の性能を上回るのが普通だ。

そして、賃貸住宅最大の悩みといっていい隣人騒音などの「騒音」。これについても、壁・床・天井・窓の防音性能が高い分譲賃貸ならば、解決する答えとなることも多いだろう。 

お隣はペットを飼っているけど、ウチはダメ? 

そんな分譲賃貸を借りる際の注意点を挙げていこう。

まず、よくあるのが契約期間の縛りだ。さきほど挙げたような「転勤大家」さんがオーナーの場合など、契約が定期借家になっているケースが多い。遠地での赴任を終えたあと、自らがその部屋に戻ってくる都合があるためだ。そうした場合、契約期間満了時には、入居者=賃借人は必ず部屋を明け渡す必要がある。

また、分譲賃貸では、そこに暮らすうえでのルールが複雑になりやすい点にも注意が必要だ。どういうことかというと、例えば分譲マンションでは居住者全員が従うルールとしての規約や細則が定められているが、分譲賃貸ではそこに上乗せされるかたちで、その部屋を貸すオーナー独自の決めごとが契約に盛り込まれていることがある。

例えば「室内禁煙」だ。あるいは、規約上そのマンションではペットが飼えるが、当該住戸に限っては入居者がペットを飼うことをオーナーが許していないなどもある。 

加えて、敷地の一斉清掃など、賃借人も含めたマンション居住者全員に参加義務のあるイベントが存在するケースや、駐車場を借りたい場合の優先順位(賃借人は順番が不利である等)、オーナーが私物である設備や備品を部屋に残していて、それを入居者が使ってよい場合の使用方法など、分譲賃貸ではさまざまなルールをあらかじめ知っておかなければ、あとで驚いたり、困ったりするケースも少なくない。 

そのため、逆にハッキリしていないルールがあるのならばハッキリ決めてもらうなど、分譲賃貸を借りる際は、細かなルールの有無や内容に大いに気を配っておく必要がある。 

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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