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駅近、最上階角部屋…人気だけど住んでみてガッカリ? おススメしたい「覚悟」の部屋選び

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人気の設備や条件にも意外な落とし穴

不動産(建物)ほど、タフな評価にさらされる商品はない。朝・昼・晩、ONとOFF、さらには春夏秋冬1年中にわたって、ユーザーのあらゆる生活場面への対応を要求されるからだ。

なので、100%の理想を込めて念入りに造り上げたはずの夢の注文住宅であっても、住み始めればたちまち目につくところが出てきたりする。

ましてや、賃貸住宅の場合、入居者本人は設計・企画に一切関与していない。ますますその傾向は強まることになる。であれば、ちょっとスタンスを変えてみよう。

あとであっけなく裏切られることもある「期待」ばかりを抱くのではなく、初めからガッカリやビックリを想定しておく。要は心を鍛えておく! そんな「覚悟」の部屋選びも、結構おススメかもしれない。

いくつか、参考になる例を挙げてみよう。一般的には人気の設備や条件だが、実はこんな結果に出合う覚悟も必要だ。

最上階・角部屋

部屋の前を行きかう他人の足音や、上下・隣室からの騒音といったストレスが少ないうえに、窓やベランダからの見晴らしもよいことが多い人気のロケーションが、最上階の角部屋だ。

一方で、夏の暑さ、冬の寒さには「要警戒」となる。最上階の角部屋は、これらに思い切り晒されやすいのだ。なおかつ、賃貸物件の場合、断熱性能が低い建物も多いため、とかく室温が悩みの種となりやすい。

そこで、ポイントだ。窓をチェックしておこう。


窓は要チェック! 仕様によっては覚悟が必要? イメージ/poko42・123RF

複層ガラスや2重サッシ、樹脂サッシといった断熱性に優れた仕様になっておらず、逆に、1枚ガラスのアルミサッシが1組だけはまっているといった場合は、覚悟が必要だ。そこが格好の熱の通り道になってしまう。暑さ、寒さ、結露、カビ……と我慢の生活が始まるのを予想しておきたい。

駅近物件・その1

何をするにも便利で、大人気の駅近物件。しかし、思わぬ落とし穴も存在する。その筆頭といえるのが騒音だ。

駅にもよるが、駅周辺というのは建物の新陳代謝が激しく、建設・解体工事が絶えないことも多い。さらに、道路や水道管など、インフラ整備が行われる頻度も高い。しかも、昼間人の往来が絶えない駅前などでは作業が深夜に行われることも少なくない。


作業が深夜に行われることも イメージ/laurensquire・123RF

そのため、「2年間駅のそばに暮らしたが、工事の音や振動に悩まなかった期間はそのうち1/3にも満たないのでは」といった声も、駅近物件ではたまに耳にしたりする。

つまり、音の侵入に弱く、揺れやすい建物が多い木造は特に注意ということだ。そのほか、駅近の物件でよくある騒音の例としては電車の音、踏切の音、自動車の走行や出入り、さらには、周りで騒ぐ酔っ払いの声といったものもよく聞かれるところだ。

駅近物件・その2

駅近物件でもうひとつよく聞かれるデメリットが治安だ。実際の治安以上に、いわゆる体感治安が、住む人を不安にさせているケースが多い。

「駅近くの路地にたむろする、夜の店の客引きの声や目が気になり、彼らを避けたルートでいつも帰宅しています。なので、本当は駅徒歩3分なのに、帰りは5~6分以上かかっています」……そんな笑えない話もあったりする。

さらには、「住んでいるマンション内に、いつの間にか風俗の店が入り込んでいて、オートロックの内側を客が深夜まで行ったり来たり……」といったことも、駅近物件特有の起こりがちな問題といっていい。

新築物件

「ピカピカの新築に入居できて、最初はすごくうれしかった」というある入居者。


ピカピカのフローリングがプレッシャーに? イメージ/stegarau・123RF

ところが……

「入居して間もなく、うっかりフローリングに目立つキズをつけてしまいました。そこでハッと気付いたんですが、ここには私以外にまだ住んだ人はいないわけだから、今後も部屋に残るキズは、すべて残らず私がつけたっていうことになるんですよね……。日頃からそそっかしい自分なので、退去のとき何を言われてしまうんだろうと、急に緊張感が増してきて、最近は落ち着けません」

やや語弊もあるが、あえて言うと、新築を借りるとむしろプレッシャーかな? と思える人、たしかに見かけることはある。

ナチュラルホワイト系フローリング

「昭和の板の間みたいな茶色っぽいのはイヤ! いまはこれじゃないと」……で人気のナチュラルホワイト系のおしゃれなフローリング。

ところが、住んでみるとすぐにわかる「あるある」な悩みがこれだ。

「床に落ちている黒い髪の毛がものすごく目立つんです。ひっきりなしに掃除が必要です。そして、もっと困るのが、恥ずかしいところの毛です。この前も、男性の友達が座っている目の前に……」(証言者は女性)

それ、分かる分かる!といったところでは?

ロフト付き

ロフトは収納として使えたり、広いと実質寝室としても機能したり、あるととても便利な設備だ。特に若い男性入居者の人気を集めやすい。


何かと便利なロフト付きの部屋。しかし…… イメージ/maru123rf・123R

ところが、一方で、「二度と選ばない」という人も中にはいる。理由はほぼこれ、冷暖房効率の悪さだ。特に2階建て木造物件の2階にある屋根裏部屋型のロフトが、その面では非常に厳しい。

なぜなら、こうしたロフトでは、屋根の裏側がしっかりと断熱施工されていないことが多いため、外の暑さ・寒さが、内部を直撃しやすい。

「夏はロフトの中が熱気のカタマリとなり、冷房費が余計に跳ね上がります。冬は、暖房で温めた空気がどんどんロフトに上がっていき、あっという間に冷やされ、無駄に。一方、部屋の下半分はつねに寒々とした状態です」

……そんな声が定番のようによく聞かれる。

24時間ゴミ出し可

この「憧れ」ともいえる便利な条件の何がガッカリ、ビックリを呼び起こすのか? 疑問に思う人も多いと思うが、経験者ならばすぐにピンとくる。

特に“恐ろしい”のが、グレードが高く規模の大きな物件ほどありがちな、人も中に入れる大型のゴミ収集庫だろう。

そうなのだ。管理が少しでも悪かったりすると(あるいは悪くなくとも)、中に悪臭がこもり、クサいだけでなく、あの「頭文字G」の虫がゾロゾロと集まる巣になることがある。

 


イニシャル・G… (※画像はフィギュアです) イメージ/HiC photoAC

ちなみに、これを書いている私も実は経験者だ。扉を開けて一歩中に踏み込んだ瞬間、上から“大物”が鼻先に落ちて来て、跳び上がったことがある。最悪、ネズミまで登場するなど、ゴミ出しがいちいち恐怖の時間と化す例もある。 

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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