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賃貸一人暮らしの部屋で「同棲」したくなったらまずすべきこと(5/5ページ)

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もうひとつ、ほとんどの入居者が知らないこととして、こうした件では、実はある弱みをオーナー側がはじめから背負わされているという事実がある。

それは、「信頼関係破壊の法理」と呼ばれるものだ。

聞き慣れない人も多いと思うが、裁判の場面で示される、司法上の論理のひとつだ。ごく簡単にいうと、こういうことになる。

「入居者が契約を無視してオーナーに相談なく勝手に同棲を始めた。オーナー側としてはこんな入居者にはすぐに出て行ってほしいが、今回の契約違反だけを理由にそれを求めても、万が一、入居者側との裁判になれば負ける可能性がある」

つまり、「契約を破られた。この人との関係は今後不安だ」だけでは負ける可能性があるのだ。

では、裁判に勝つためにはどうすればいいのかというと、オーナー側は、その同棲行為によって、オーナーと入居者との間の信頼関係が破壊されたか、もしくは破壊されるおそれがあることを明確に示す必要がある。なお、「明確に」とは、「裁判官に認めてもらえるかたちで」ということだ。

つまり、裏を返せば、賃貸住宅の入居者にとって、司法は基本的に優しく、手厚いのだ。仮に3人のジャッジがそこにいるとすれば、そのうち1人をはじめから味方につけているようなものといえるだろう。

とはいえ、賃貸住宅での「勝手に同棲」問題が、こじれた挙句、法廷にまで持ち込まれることは実際ほとんどないはずだ。なので、以上はオーナー側の杞憂といっていい。

それでも、とにもかくにもこの法理があるために、入居者側としてはほんの気軽な思いで、無断で同棲を始めたつもりでも、オーナー側にとって、入居者側が思っている以上の緊張状態を強いられるというわけだ。

このように、相談なしの勝手に同棲が、ますます罪深いことが誰しもよく分かるだろう。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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