不動産永遠のテーマ「賃貸vs購入」に決着?――帰属家賃を考える(3/3ページ)
朝倉 継道
2021/06/24
変化と不確実性のなかでの今後の「家」探し
以上、帰属家賃の考え方を実際の家の「借りる・買う」に応用し、少し漫画チックにまとめてみた。
触れたとおり、経済統計上の便宜としてもちいられるこの概念だが、人が家に住むということの本質をあぶり出してくれる、格好のベースになると私は思っている。
そのうえで、さきほどは「家を持つことを人生成功のシグナルフラッグとして心に捉えている、おそらく多数派であろう日本人」と、述べた。
しかし、近年、そうしたわれわれの想いは、実はかなり揺らいでいるはずだ。
ITテクノロジーの進展による人々の働き方の変化や、年々不確実性を増す気象環境の様子なども相まって、家は買うべきか、それとも長期・短期を織り交ぜての多様なかたちで借り続けるべきか? 本気で悩む人も、いまは増えてきていることだろう。
そうした人々にとって、今回、この記事に述べたような根本論的な話というのは、家と人生を考えるにおいて、とてもよい支点、もしくは始点となるのに違いない。
この記事を書いた人
コミュニティみらい研究所 代表
小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。