総選挙、コロナ経済対策…岸田新内閣への期待と不安を読み解く(3/3ページ)
望月 純夫
2021/10/06
20年目を迎えるJ-REIT、次に向けた期待値
2001年9月10日は、米国での「セプテンバー11」、「世界同時多発テロ」の前日に当たる。J-REIT(日本版不動産投資信託)は、なんとその前日に初登場した。
今年が20周年記念となったが、J-REITは厳しいスタートを切り、これまでいばらの道を歩いてきた。
当時、襲撃された米国ビルもREITに組み込まれていたこともあり、REIT市場は大混乱となり、そのあおりを受け、J-REITも暴落のスタートとなった。その後、にリーマン・ショックで再暴落し、日銀によるサポートや安倍晋三政権のアベノミクスに伴う異次元金融緩和により回復してきた。しかし、20年にはコロナショックで3度目の大きな下落が生じたものの、現在は回復に向かっている。
J-REITの市場規模は大幅に拡大し、時価総額は18兆円に達し、私募REITを含めるとその規模は22兆円となり、社債市場のほぼ半分になる。そして、20年代後半には50兆円規模になると展望され、投資家にとっては不可欠なアセットと言える。
日銀は不動産市場を支援すべくREIT買いを続け、コロナショックから早期に立ち直させている。これこそが市場の信頼である。スタートから20年を経過しているだけに、中身の物件のリニューアルも必要な局面である。同時に、物件の入れ替えの対応も必要である。
また制度的には、「売却時の譲渡益課税繰り延べ制度」の導入も検討課題となる。今やJ-REITは金利が付かない時代における「投資家の救世主」となっている。
※本稿は、投資における情報提供を目的としたものです。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。
この記事を書いた人
コンサルタント、ラジオパーソナリティ
1971年慶應大学法学部卒、同年山一証券入社。1985年新本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。 1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。