老後のライフスタイルで考えてみたい――年金の受け取り年齢の違いでどこまで差が出るか?(3/4ページ)
小川 純
2021/07/30
そんなに差がない!? そのまま受け取る年金と繰り上げ受給との差はいくらか
今回の改正では、逆に繰り上げ受給の減額率が0.5%から0.4%と少なくなる。また、60歳から64歳の年金の支給停止基準額が28万円から47万円に引き上げられたという点も考えてみよう。
65歳時点の受給金額を15万円とすると、60歳からの繰り上げ受給するとその額は24%減の11万4000円。寿命を65歳時点の平均余命の85歳とすると、繰り上げ受給、そのまま受給、69歳1カ月、75歳までの繰り下げ受給、それぞれの受給金額は次のようになる。
■60歳から繰り上げ受給
受給総額:3420万円/月額:11万4000円
■繰り下げ受給なし(そのまま受給)
受給総額:3600万円/月額:15万円
■69歳1か月(総額MAX)までの繰り下げ受給
受給総額:3847万6950円/月額:20万1450円
■75歳まで繰り下げ受給
受給総額:3312万円/月額:27万6000円
ここで注目しておきたいのは、60歳からの繰り上げ受給をしても65歳までの5年間を会社で働き、厚生年金に加入すれば、その5年間の年金も増えるということである。
例えば、給与が20万円であれば、1年でおよそ月額1100円(年額13000円)が増額される。そのため65歳時点の受給金額は、およそ月額5500円のアップの11万9000円。70歳まで同じ条件で働くと、12万4500円になるわけだ。
とはいえ、年金と給与(ボーナス含む)の合計金額が月額47万円を超えると、年金が減額されてしまう。
そのため60歳から年金を受給しながら会社で働く場合、年収ベースで396万円(月収33万円)以上働くと年金が減額されることになってしまう。
仮に給与33万円(ボーナス含む)で働いた場合、1年でおよそ月額1800円(年額21000円)が増額され、65歳時点の受給金額は、およそ12万3000円になる。
いずれにしても、働きながら年金を受給する場合は「47万円の壁」についても意識しておく必要がある。
この記事を書いた人
編集者・ライター
週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。