大手ネット証券も参入 「証券家族信託」活用のメリット、デメリット(2/4ページ)
小川 純
2020/09/05
具体的な仕組みは次のようになる。
①委託者=財産管理を託す人
②受託者=託された財産を管理・ 運用・処分(売却)する人
③受益者=託された財産の権利を有する人で信託によって管理・運営・処分による利益を得る人。また、受託者に対する監視・監督権を持つ
信託は以上の三者によって成り立つ。なお、委託者に対する受益者は同じという場合もある。
図の例では、賃貸アパートを経営する父(委託者)が寝たきりや認知症になった際にはアパートの管理・運用・処分する権利を長男(受託者)に託し、長男はそれにあたる。そして、これで得られた収益を受益者である父親に還元する。この例では第1受益者を父親として、父親の死後は第2受益者の母親が収益を得る。このスキームでは両親の老後の生活を守り、その後はその財産を長男が相続するようになっている。
このように受益者の指定は委託者が自由に行えるのも大きな特徴で、この例では委託者である父が死亡した場合は母親を受益者にしているが、父親が亡くなったらそのまま長男が相続、あるいは第2受益者、第3受益者と増やすことや、相続は長男や長男の子(孫)と2人で分割して相続するというような取り決めを行うことも可能だ。
そのため信託契約の内容次第では、どのようなかたちにでもすることができる。ただ、自分の死後にトラブルにならないように家族間で話し合いをして納得させておくことが必要になる。
この記事を書いた人
編集者・ライター
週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。