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相続財産は不動産だけ

そのときに遺産分割はどうすればトラブルを回避できるか(3/4ページ)

鬼塚眞子鬼塚眞子

2019/08/26

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② 不動産を売却する
このケースでは妻と子どもが相続人とし、相続人間では法定相続分に異論がないことを前提になる。
先に述べた以外の方法として、夫が所有していた不動産を売却し、法定相続分に応じて、売却金を分け合う方法が挙げられる。相続人たちが権利争いをしなければ、平たくいえば後腐れはない。また、固定資産税も家屋や庭木の維持費も不要になる。

しかし「全員がラッキー」と思うのは、少し待っていただきたい。いうまでもないが、相続人全員が売却の意志を固めていることが前提だ。その際に問題になるのは、妻の今後の生活だ。
夫が亡くなった後、遺族年金があるが、今の高齢者の方は専業主婦をしている方が圧倒的なので、妻一人は年金が10万円を切っているケースは多い。

介護にもならない場合は、まだやりくりをできる判断能力もあるが、介護状態、特に認知症になった時を想定すると、その費用も考えておかなくてはならない。こうしたケースではこの費用の捻出のために、相続財産が自宅の土地家屋しかないという場合、実家を売却して、妻の今後の費用に充填するというのが現実的だ。

③ 相続人の一人が不動産を相続する
両親が亡くなり、相続人が子どもたちだけの場合で、その家には誰も住まない場合は、売却や賃貸ということが考えられる。しかし、相続財産の対象となる家屋に長年親と一緒に住んでいた、あるいは跡取りとして不動産を相続しなければならない場合もある。

こうしたケースで覚えておきたいのが、“代償分割”制度だ。
不動産を相続する相続人が他の相続人に法定相続分に応じた現金(“代償金”)を支払う制度だ。
しかし、最大の問題は他の相続人に渡す“代償金”を準備できるかどうかだ。不動産しか相続財産がない場合、一般的には“代償金”を確保している例は極めて少ない。そうした場合に活用されるのが生命保険だ。

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この記事を書いた人

一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会理事長

アルバイトニュース・テレビぴあで編集者として勤務。出産を機に専業主婦に。10年間のブランクを経て、大手生保会社の営業職に転身し、その後、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー(FP)として独立。認知症の両親の遠距離介護を自ら体験し、介護とその後の相続は一体で考えるべきと、13年に一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会(R)を設立。新聞・雑誌での執筆やテレビのコメンテーター、また財団理事長として、講演、相談などで幅広く活躍している。 介護相続コンシェルジュ協会/http://www.ksc-egao.or.jp/

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