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相続財産は不動産だけ

そのときに遺産分割はどうすればトラブルを回避できるか(1/4ページ)

鬼塚眞子鬼塚眞子

2019/08/26

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「財産といえば不動産だけ」という方は多い。実際、国税のHPにも相続財産種類の最多は土地で、家屋と合計すると第2位の現金・預貯金等の2倍以上の開きがある。相続財産が不動産だけしかない場合、相続人たちにはどんな対策があるだろうか。実例を踏まえて注意点とともに紹介したい。

まずは、表の国税のデータを見ていただきたい。この10年間、相続財産の最多種類は土地が普遍であることがわかる。


(注)上記の計数は、相続税額のある申告書(修正申告書を除く。)データに基づいて作成している

この表からも親の相続財産が不動産だけという人が珍しくないことが理解できると思う。では、不動産だけの場合、どのように相続財産を分ければいいのだろうか。

預貯金なら法定相続分割合で相続すればいいが、不動産となると預貯金と同じように、家を法定相続人数分に刻んでいくというわけにはいかない。仮に法定相続人が2人だった場合、家はAさん、土地はBさんに相続ということも現実にあり得ない。家屋は築年数が古いと実際の売買になると、ほとんど評価させることはなく、実際に売却するとなれば更地にしないと売れないこともあるからだ。
実際に相続財産が不動産しかない場合の代表的な3つの選択肢を紹介する。

① 妻の名義に変更
夫婦と二人の子どもの家族で夫が亡くなった場合、法律的にすっきりするのは、法定相続分通り、妻は50%で子どもたちは残りの50%を按分(それぞれ25%の持ち分)して、新しく登記することだ。
だが、法律的には分かりやすく、すっきりとしていいと思うかもしれないが、後々、複雑な話しになることもある。

たとえば、夫の死をきっかけに、妻が別に暮らす子どもと同居したり、介護施設に入居することになり、自宅を人に貸したり、売却する時などがそうだ。
人に貸す場合は、登記した相続人の過半数の同意が必要となるが、やっかいなのは売却の場合だ。相続人全員の同意が必要となるからだ。

相続人が海外勤務になる場合、書類のやり取りはメールというわけにはいかない。さらに、実際の弊社団に寄せられた相談の中には、相続人の1人が失踪してしまったというケースもあった。失踪している場合など、本人の居場所を突き止めなければならないが、探すにしても弁護士に依頼して住民票をたどってもらう、あるいは探偵に依頼することにもなる。こうした方法は費用もかかり、そもそも住民票を移動することなく、本当に音信を消してしまう人も現実にはいて、必ずしも突き止められるケースばかりではない。

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この記事を書いた人

一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会理事長

アルバイトニュース・テレビぴあで編集者として勤務。出産を機に専業主婦に。10年間のブランクを経て、大手生保会社の営業職に転身し、その後、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー(FP)として独立。認知症の両親の遠距離介護を自ら体験し、介護とその後の相続は一体で考えるべきと、13年に一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会(R)を設立。新聞・雑誌での執筆やテレビのコメンテーター、また財団理事長として、講演、相談などで幅広く活躍している。 介護相続コンシェルジュ協会/http://www.ksc-egao.or.jp/

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