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確定申告の重要度 2000万円問題で騒ぐより、戻せるお金はきっちり戻す(2/2ページ)

小川 純小川 純

2019/07/19

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そこで忘れていけないのは、取り返せるものは1円でも取り返すという意識。そして、何といっても重要なのは年に1度の確定申告である。

現役時代は年末になると、会社から「年末調整」の書類を渡され、この書類に、家族構成や加入している生命保険、個人年金保険、住宅ローンがあればその控除証明書類を添えて提出すると、お金が返ってきた。

しかし、年金生活ではこうした税務上の手続きは自分で行わなくてはならない。意外と忘れている人も多いが、定年退職して収入が年金だけになっても、65歳未満で108万、65歳以上では158万以上になると、年金から所得税が源泉徴収される。そのため毎年2月から3月の「確定申告」は必須になる。しかも、この確定申告をもとに住民税や健康保険料が決定されるため、しっかりと申告をしないと、これらの金額も高くなってしまうのだ。

ただ、ここにちょっとした落とし穴がある。それは年金所得者を対象に確定申告を免除する「年金所得者に係る確定申告不要制度」というものだ。

「確定申告をやらなくて済む!」

と便利そうに見える。

免除の条件は、「公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額が20万円以下である場合」というもの。これを見ると、年金だけで生活している人はほとんどが確定申告が必要がなくなる。めんどうな申告をしなくて、これは便利だが、よくよく考えると、年金だけで生活していても生命保険料を支払っていたり、扶養の家族がいたり、病気などで入院や通院して10万円以上(年金金額に違いがある)の医療費があれば、それも控除の対象になる。

医療費でいえば17年にセルフメディケーション税制が導入され、市販薬でも対象医薬品を購入すれば、合計で1万2000円を超えた額の20%を所得税、10%を住民税から控除される。

つまり、確定申告をして還付を受けなくては損ということになる。しかも、ここできちんと申告しておかないと、住民税の控除もなくなり、結果、税金が増えてしまうといった影響も出てくる。さらにいえば所得をもと健康保険料も計算されるのだから、その負担はまさに増える。

確定申告と聞くと、税務署にいったり書類をそろえたりと、とてもめんどうに感じるかもしれないが、最近ではネットを通じて申告書の作成ができ、そのままネットから申告ができるため手間がかからないようになってきている。

ほとんど人は確定申告をすれば還付を受けられるので、めんどうがらずにしっかりと確定申告を行い、1円でも取り戻せるものは取り戻す――こうした姿勢で少しでも出費を減らすことが重要なのだ。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。

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