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マンションの火災保険・地震保険

押さえておきたい基本と注意点(2/2ページ)

平野 敦之平野 敦之

2018/12/18

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火災保険・地震保険(マンション向け)の最近の傾向

実は近年、火災保険や地震保険の改定が続いており、全国平均では保険料率は上昇傾向にあります。地域差はもちろんありますが、構造上では、マンションなどのM構造は値上げの傾向です。

これまで木造などと比較して保険料が安かったこともありますが、主な原因は保険金の支払い増加によるものです。この収支の悪化の原因の一つは、気候変動に伴う自然災害の増加、もう一つは水濡れ損害の増加です。

冬場の水道管凍結などによる破損事故はもちろんですが、マンションの水濡れ損害は増加傾向です。もともとマンションはその構造上、どうしても水濡れ損害は火災などより多くなります。

2015年10月に火災保険の改定が行われましたが、このときマンションの保険料率は引き上げられています。特に共用部分の保険についてはこの傾向が顕著で、物件の築年数が古いと保険料率が変わる「築年数別の料率」が採用されています。

各社で一律ではありませんが、おおよそ築20年くらいから5年刻み程度で保険料が引き上がっていきます。実際にこの改定が行われる前には、築年数の古い物件について共用部分の火災保険の契約を断る損保もでていました。

また2019年にも各社地震保険や火災保険の改定を実施する予定です。マンションの特に共用部分の火災・地震保険を取り巻く状況は大きく変わってきているのです。

マンション保険にかかる対策とは?

マンションの共用部分の火災保険については、生命保険と同じような状況になってきていると考えてください。

・高齢である、健康状態が悪いと生命保険の契約を断ることがある
 (築年数が古い、マンションの管理状態が悪いと保険の契約を断ることがある)

・生命保険の契約はできるが、高齢になると保険料が高い
 (管理組合の保険に加入できるが、築年数が古いと保険料が高い)

現在、生命保険会社は各社、健康増進や予防にかなり力を入れています。例えば健康が維持されている場合にインセンティブがあるような内容です。

これをマンションに置き換えると「適正なマンション管理」ということになります。若いときは病気に無縁な人が多いでしょうが誰でもいずれ年を取ります。マンションも新築のうちはいいですが、やがて設備は古くなり、修繕が必要になるのはどこでも一緒です。

マンションという資産保全の観点からは、面倒でもマンションの管理に積極的に関わることです。言われるままに火災保険などに加入するのは良くありませんが、マンション管理の契約も同様です。

保険の観点からは、自分が補償を手厚くしたくても、管理組合に予算がない、あるいは他の所有者が必要ないとの声が多ければ、自分の考えているようにはなりません。その場合専有部分の補償だけでも手厚いものにする、家財にも火災保険・地震保険に加入する、地震保険の上乗せの補償を検討するなど予算の範囲で可能な対策を取っておきましょう。

単純に火災保険や地震保険の設計だけでなく、管理も繋がっていることをよく認識しておくことが大切です。

 

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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