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他人事ではない台風時のリスクをどうカバーするか? 自然災害の被害を支援する制度と保険(3/4ページ)

鬼塚眞子鬼塚眞子

2020/07/01

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アパートローンも対象 「住宅ローン特約」

残念ながら、災害でローン返済中の家を失ってもローン残金は残されたままで、完済するまで払い続けていかなければならない。つまり、新たな家の建築費は保険金でなんとかなっても、失われた家のローンは残される。しかし、「災害などで失われた家のローンを払い続けるのは……」という思いはある。こうした声に応えた住宅ローンが、都市銀行や地方銀行の一部で発売され、自然災害の多発するなかで脚光を浴びている。

この住宅ローンは、自然災害などで住宅が全壊、または大規模半壊し、住むことができなくなった場合、その期間に毎月返済するローンの一部を免除するという「自然災害サポートオプション」といわれるもの。具体的には三井住友銀行、常陽銀行が扱っている「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン」や、りそな銀行の「自然災害時支援特約付住宅ローン」といった名称の住宅ローン特約だ。

一方、火災保険には被災した家の住宅ローンをカバーする保険はないといったが、ローンの一部を補填する保険はある。それが、カーディフ損保が発売し、イオン銀行、愛媛銀行、北日本銀行が住宅ローンのセット商品として発売している「居住不能信用費用保険」というもの。

この商品は地震・台風・津波・土砂崩れ、風水害などの自然災害に加えて、火災や物体の落下など一般災害も補償の対象となっている。保険金の支払要件は、居住不能期間中の保険金支払対象月のローン契約の予定返済額(ボーナス返済月は、その返済額と月々の返済額)を保険金として支払うというもの。年間支払額は2400万円以下になる。つまり、ローンの残債をすべて払ってくれるわけではなく、あくまでも住むことができない期間中のローンをカバーしてくれるというものだ。

1回の居住不能における補填期間は、イオン銀行は最長6カ月(通算最大36カ月)、愛媛銀行は最長6カ月(通算最大36カ月)、北日本銀行は最長12カ月と、取り扱いの銀行によって異なる。補償の終了は、住宅 ローン契約が終了したとき、所定の支払限度期間分の保険金が支払われ、支払限度期間が終了したとき、ローン債務者が所定の年齢に到達したときと定められている。

この居住不能信用費用保険は新規で住宅ローンを契約する場合。また、イオン銀行、愛媛銀行、北日本銀行などでローンの借り換えを行う場合も加入が可能だ。ただし、すでにこれらの銀行で住宅ローンを組んでいる場合は、中途で加入することはできない。

これに加えて賃貸住宅オーナーも使えるものとしては、アパートローン特約も準備されている。アパートローンを補償対象に含める場合は、被保険者の所有するローン対象賃貸建物を保証する。契約者は金融機関。被保険者の所有するローン対象建物が、債務者の転勤などにより一時的に賃貸される場合も保証してもらえる。

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この記事を書いた人

一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会理事長

アルバイトニュース・テレビぴあで編集者として勤務。出産を機に専業主婦に。10年間のブランクを経て、大手生保会社の営業職に転身し、その後、業界紙の記者を経て、2007年に保険ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナー(FP)として独立。認知症の両親の遠距離介護を自ら体験し、介護とその後の相続は一体で考えるべきと、13年に一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会(R)を設立。新聞・雑誌での執筆やテレビのコメンテーター、また財団理事長として、講演、相談などで幅広く活躍している。 介護相続コンシェルジュ協会/http://www.ksc-egao.or.jp/

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