子どもファーストで面会拡充を実現——愛する気持ちは一緒だからできたこと(後編)(2/3ページ)
しばはし聡子
2021/10/02
——離婚を受け入れようと思ったのはどのタイミングでしたか?
調査官調査の文面で、子どもが僕たちに仲直りしてほしいと思っているのを知っていたので、チャンスがあるなら、もう1回やり直したい、という思いはありました。そう考えていたので、正直最初はなかなか踏ん切りがつかなった。ただ、このまま調停を続けていても、あまり話し合いをすることがなくなってきており、妻の気持ちは固いと分かったんです。
正直、親権を失う怖さはものすごくありました。苗字も変わったりしたら、親でなくなるとか、会えなくなるんじゃないか、とか。ただ、両親それぞれが子どもの習い事などに関わって協力するなど、子ども優先で考えるということでは意見が合致していて、妻が子どもを第一に考えてくれているということが分かったので、あとはお互い幸せになるために共同養育を積み重ねていくしかないと思うようになりました。ちなみに、子どもの希望を聞き入れ、苗字は変えないでいてくれています。その部分についてもとても感謝しています。
——現在のお子さんとの関係は?
離婚時の協議書上は、面会は毎週土曜日のみとなっていますが実際はそれ以上会えています。子どもがサッカーをやめて野球に興味をもち始め、野球をやりたいと言い出したので、そこは僕がチームを探して、現在は僕も子どもと一緒に野球のコーチとして関わっています。
また、野球以外にも子どもとは毎週親子Cookingをしたり、家庭菜園、DIYなんかも楽しんでいます。最近は野菜などにも興味を持ち始め、ABCクッキングスタジオに行った際は包丁の使い方が上手と褒められとても楽しそうに料理をしていました。子どもとも同居時よりも絆が深まり、新たなよい関係性が芽生えたことを実感しています。
それに、学校行事も参加しています。1時間の公開授業などは半分ずつ行くようにして。一緒に観ることはないですが、子どもの様子が分かるので有難いです。学校に、行事について教えてもらったりだとか、自分で確認できるものは相手から待つのではなく、自分から情報を取りにいってます。
また、妻は土曜日が仕事なので、交流中は心配なく働けているのかなと。いまは臨機応変に子どもが僕のところに来たりもするので、自由に行き来しています。今年の夏は息子とふたりでプロ野球観戦に東京ドームへ行けたのもいい思い出です。元妻は今年の夏休みに息子と石川県にある松井秀喜ミュージアムに行ったようで、そのことを子どもを通じて聞き、お互い子どもを優先できているのが分かり、うれしかったですね。
この記事を書いた人
一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️