離婚してもしなくても夫婦と親子を切り分けることの大切さ(2/3ページ)
しばはし聡子
2021/03/05
■別居することで、子どものことを話す機会が増えた
最初夫は、「離婚をするのに子どもの情報をもらうのはつらい」と言っていましたが、共有を続けていくうちに夫が来る頻度が増えるようになったんです。1年経った頃には週1回で会うようになっていました。
同居中は子育てに関してちょっと他人事だった夫が、主体的に子どもに対して関心を持つようになり大きな変化を感じました。
今思えば、一緒に住んでいた頃には一緒に子どもを育てる感覚がありませんでした。夫とは一緒に住んでいるだけでした。1対1でこんなに子どものことを話すようになったのは別居してからです。
別居したことで変わり、子育てに対して主体的になった今の夫なら、このまま良い関係で離婚して離婚後も共同養育できるって思いました。
■夫の転勤を機にふたたび同居生活
そこに大きな転機が。夫が東京勤務になったんです。一人暮らしでもするのだろうと思っていたのですが、夫は一緒に住むことを望んでいました。
夫はなんとなく復縁できると思っていたようですが、なあなあにして成り行きで同居再開してしまっては、同じことを繰り返す気がしたので、きちんと弁護士さんに入っていただき同居に向けた誓約書を交わすことにしました。そして、約1年前に同居開始。今は夫婦・家族として再スタートしています。
二度目の同居で大きく変化を感じているのは、夫の子どもへの関わり方です。主体的に自分から子どもに関わることが圧倒的に増えました。
夫婦間も変わりましたね。以前は夫に負担をかけないよう育児を一手に担いそれでいいと思っていましたが、今は共有して協力できるようになりました。育児を一緒にやれている感覚です。
以前は私が何をしているか見えなかったようで、私のことを暇だと思っていたようです。でも今は、育児や家事のやることの多さを分かってもらえるようになり助け合えています。
■親と子は別の人格をもった1人の人間どうし
離婚しても、別居しても、子どもが両親から愛されていると感じられる、自由に会うことができる世の中になるといいなと心から思います。
私のなかでは、親と子はそれぞれ別の人格をもった1人の人間どうしなので、夫婦関係の課題と親子関係の課題は切り離して考えたいという思いがあり、パートナーに対する自分の感情について、子どもに同調や共感を求めることは絶対にしたくないなと思っていました。
また、お母さんとしてというより、1人の人間どうしとして子どもとの信頼関係を築いていきたいという思いが強くあります。
そのため、別居中の、子どもと父親の関わり方についてよりいい方法を探っていくなかで、私が夫に対する感情を整理することは、子どもとは関係なく私自身が取り組むべき課題であり、その課題に子どもを巻き込んで待たせるべきではないと思い、早めに面会交流を始めました。
親が子どもの成長過程でしてあげられることなんて、本当にわずかだと思っていますが、「無条件で、ありのままの自分で愛されている」と子どもが感じられるように、愛情を示していくことが、親がしてあげられる一番大切なことだと思うので、その機会だけは奪いたくなかったです。
そんななか、りむすびの活動を知ることができたことは、本当に幸運だったと思います。
この記事を書いた人
一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️