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次から次へと出てくる迷惑系YouTuber、バイトテロがなくならない理由(1/2ページ)

遠山 高史遠山 高史

2021/09/28

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イメージ/©︎suriyawut・123RF

欲望に作用するために作られているSNSの仕組み

迷惑系YouTuberが世間を騒がせているそうだ。視聴回数を上げるために、過激な行動を配信し、実際に逮捕されるケースも出てきている。YouTuberが、小学生の将来なりたい職業にランキング入りしたのが、2019年頃であったかと思う。

古い世代の人間としては、にわかには信じがたい話であった。所謂、芸能人ではない人々が趣味でやっているものだと思っていたのが、今や人気の職業として認識されるようになったのだから、隔世の感に堪えない。
 
これほどまでに、人々の注目を集め、犯罪行為も辞さぬような輩が出てくる理由の一つは、経済効果であろう。

トップYouTuberともなれば、その収益は億の単位だというから、ひとやまあてたいと思うのもうなずける。莫大な金額と引き換えならば、それが世間から批判を浴びるような行為であっても、かまわない、と思うのも理解はできる。

加えて、有効なコンテンツを配信すれば、一夜にしてスターとして扱われることも夢ではないように見えるから、若者が食いつくのは当然と言えば当然だ。

しかし、いかに魅力的であっても、社会のルールを犯す前に、自制するのが普通である。一体、何が人に一線を越えさせるのであろうか。
 
YouTubeに限ったことではないが、これらSNSの仕組みは、非常に巧妙に、人間の欲望を刺激するように作られている。これらは脳の報酬系に上手く働きかけるのである。

例えば、あなたが何某かのコンテンツを配信し、思いがけず多数の閲覧者が、高評価をつけたとき、脳は大きな喜びを感じるだろう。大抵のSNSには、「いいね!」ボタンのような、視聴者の評価を数値化する機能が付いている。実社会では、人の評価というものは曖昧なことが多く、良い、悪いというだけの単純なものではないはずだが、数値化することによって、明確に評価をはかれ、他者との比較も恐ろしく容易である。

この仕組みは、承認欲求に火をつけることになるだろう。

誰かが「いいね!」をクリックするたびに、認められたと感じ、それが、さらに脳の報酬系を刺激する。顔も見えない人間からの何気ないワンクリックが、欲望を増幅していくのだ。

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この記事を書いた人

精神科医

1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒業。精神医療の現場に立ち会う医師の経験をもと雑誌などで執筆活動を行っている。著書に『素朴に生きる人が残る』(大和書房)、『医者がすすめる不養生』(新潮社)などがある。

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