リア充なはずのパワーカップルの間で広がるプライベート・カウンセリング(3/4ページ)
北 淑+Kanausha Picks
2021/08/27
男性「嫁は、何ごとにも力が入るほうなんですね。正直、自分は子どもがほしいなって思うけれど、今の状態では、そんな話を切り出すどころじゃないんです」
この男性の心が落ち着かない一番の理由は、奥様のイライラだけでなく、ここにあったのでしょう。つまり、自分は本当に望んでいること、いいたいことを口にできないということです。
私「確かに、タイミングを考えないといけませんね」
男性「それでいろいろ考えて、思い切って、家を買おうかと。今は賃貸ですが、3LDKのマンションにしようかと。そのついでに子どもの話もしてみようかと……。でも、本当にそれでいいのか?って不安もあるし、そんなこと考えていたら、夜眠れなくなって。それにメンタルクリニックに行くと、住宅ローンの団体信用保険が頭をよぎって困ったなと思って、それで、カウンセリングに来てみたんです」
実は、この男性のようにメンタルクリニックや心療内科への受診履歴があると、生命保険、とくに住宅を購入する際に加入する団体信用保険の契約ができなくなることを危惧して、プライベート・カウンセリングに来られる方が多くなっています。
実際、メンタルクリニックや心療内科への受診履歴があると、保険に加入しづらくなるようです。なかでもこのご夫婦のようなパワーカップルは収入もあるため、プライベートなカウンセリングを希望されるのです。
私「妙案だと思いますよ。余裕がなくなったように見える奥様とどう向き合って、将来のことを話し合えばいいか、簡単なようで、難しいことですからね。そんなとき、買い物など、話題をモノの話から切り出すのが話しやすいと思います。そして、奥様に少しゆとりがあるといいんじゃないかって伝えるほうがいいですね。『疲れている』とか、『イライラしているみたいだ』って言うと、余計、腹が立つものですから(笑)。そのうえで日常から視線が切り替わったときに、子どものことも少しだけ触れてみては」
私はこう男性に伝え、日常生活での奥様との向き合い方、ご自分の気持ちの切り替え方など、アドバイスしてカウンセリングをクローズしました。
この記事を書いた人
公認心理師 博士(医学)
大手不動産会社で産業保健活動を行う一方、都内で親子や夫婦の関係改善のためのプライベートカウンセリングを実践している。また、最近は、Webカウンセリングも行い、関東甲信越や東北地方の人たちとのセッションにも力を入れている。