【京都で愉しむセカンドライフ】一度は訪れたい千年の歴史を感じさせる「京都御所」(2/2ページ)
奥村 彰太郎
2021/05/18
見学コースはおよそ1時間
新御車寄の次に、「紫宸殿(ししんでん)」を囲む朱色の回廊が見えてくる。回廊には東西南に門があり、中の紫宸殿を観ることができる。
紫宸殿は御所の中心となる建物、即位の礼など公式な儀式が行われた所。桧皮葺の大きな屋根が美しい壮大な寝殿造の建物だ。
通年公開では外観しか見られないが、紫宸殿の中には天皇の御座である「高御座(たかみくら)」と皇后の御座「御帳台(みちょうだい)」が置かれているとのこと。令和の即位の礼は皇居で行われたため、この高御座と御帳台が儀式のために東京に移されたが、現在は御所に戻っている。
紫宸殿
紫宸殿に上がる階段の左右には「右近の橘」「左近の桜」が植えられている。広大な「南庭(だんてい)」には白砂が敷き詰められ、儀式の際には、この南庭に王朝貴族たちが立ち並んだのであろう。そんな姿を想像できる景観だ。
紫宸殿の奥には寝殿造の「清涼殿」があるが、桧皮葺屋根の葺き替えなどの工事中で、現在はシートで覆われていて見られない。
紫宸殿を過ぎると、美しい「御池庭(おいけにわ)」が広がっている。
御池庭
よく手入れがされている回遊式庭園だが、参観者は西側から池を眺めるだけで、池を回ることはできない。池の手前には、将軍や諸大名の謁見が行なわれた「小御所(こごしょ)」、和歌の会など学芸関連の行事が行われた「御学問所(おがくもんじょ)」と建物が続く、その間の広場は「蹴鞠の庭」という案内が出ている。貴族が蹴鞠を楽しむ場所が用意されていたとは意外だった。蹴鞠は勝敗を競うわけではなく、いかに相手が蹴りやすい鞠を返すかという点では、貴族同士のチームワークの形成に役立ったのであろうか。
蹴鞠の庭
さらに順路を進むと、天皇の日常のお住まいとして使われた「御常御殿(おつねごてん)」と、遣水が流れる趣のある庭「御内庭(ごないてい)」が奥へと続いている。さらに奥には、皇后や姫君のお住まいがあるというが通常は非公開。
御内庭
見学コースは、ここまでで出口へと向かう。見学にかかる時間は1時間程度。
千年以上にわたり都が置かれた京都、その中心の御所は古き都の雰囲気を今に伝えている。御所の見学を終えて、京都御苑を散策しながら、終日のんびりと過ごすには最適な場所かもしれない。
京都御苑には、御所以外にも見学できる施設がある。
海外からの賓客を迎える施設として2005年に開館された「京都迎賓館」、天皇退位後の住まいとして使われた「仙洞御所」、京都御苑の自然と歴史についての展示がされている「閑院宮邸跡収納展示館」、江戸時代に建てられた数寄屋風書院造の茶室「拾翠亭(しゅうすいてい)」なども見学できる。ただし、緊急事態宣言が出ている間は、全て公開中止になっている。早期の再開を期待したい。
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この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラー
1953年東京生まれ、東京都立大学卒業、株式会社リクルートに入社。進学や住宅の情報誌の営業や企画・人事・総務などの管理職を務め、1995年マネー情報誌『あるじゃん』を創刊。発行人を務めた後、2004 年 ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラーの資格を活かし、“キャリアとお金”のアドバイザーとして独立。企業研修の講師や個別相談を中心に活動中。大学の非常勤講師も務める。東京と京都のデュアルライフを実践中。