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【京都で愉しむセカンドライフ】神社仏閣から祇園まで、京都の節分は伝統行事を身近に感じるワンダーランド(2/2ページ)

奥村 彰太郎奥村 彰太郎

2021/02/09

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豆撒きの演出も面白い盧山寺の節分会

御所の東側に位置する盧山寺は、紫式部ゆかりの寺。紫式部が暮らし源氏物語を執筆した地とされている。節分には「鬼法楽」という鬼踊りや豆撒き、「鬼のお加持」という行事が行われる。


盧山寺節分会 鬼のお加持

「鬼のお加持」とは、病気平癒や身体健全をはかるため、参拝者が次々と邪気払いした鬼に身体の悪いところを加護してもらう。

法螺貝が吹き鳴らされる中、松明と宝剣を持った赤鬼、大斧を持った青鬼、大槌を持った黒鬼が境内の特設舞台に現れ、踊りながら堂内に入る。堂内で行われている厄除けの護摩祈祷を邪魔するが、撒かれる蓬莱豆と福餅の威力によって逃げ去るといった物語が展開される。


盧山寺節分会 赤鬼


盧山寺節分会 青鬼


盧山寺節分会 黒鬼

蓬莱豆は、大豆の外側を砂糖で固めた紅白の豆。この豆を紅白一粒ずつ食べると寿命が延びるといわれている。私も紅白の蓬莱豆をいただき、長生きできそうな気分になった。

鬼は払うのでは改心させる聖護院の節分会

聖護院は山岳信仰の修験道の寺。役行者(えんのぎょうじゃ)が開祖とする山伏の寺。聖護院一帯は聖護院大根や八つ橋の発祥の地。節分の追儺式には、暴れた赤鬼、青鬼、黄鬼が豆撒きによって観念し、最後は鬼も一緒に豆を撒くという珍しい行事である。


聖護院節分会 鬼も一緒に豆撒き

鬼を倒すのではなく、改心させて共に生きるという考えに共感を覚える。

豆撒きが終わると、山伏が集まり厄除け開運の大護摩供を行う。境内に檜葉の護摩壇が作られ、山伏によって点火され、ものすごい煙や炎が立ち上る中で読経が続き、参拝者の願いが込められた護摩木が、山伏によって次々と投げ込まれる。


聖護院節分会 護摩供

芸妓さん、祇園のホステスさんの仮装が楽しい「節分おばけ」

京都の節分には「おばけ」という庶民の風習があった。普段と異なる仮装をして鬼の目を騙し、鬼をやり過ごして神社仏閣を周り厄払いするそうだ。現在では、花街の芸妓さんや祇園のホステスさんたちが、節分には様々な仮装をして、お客を喜ばすイベントになっている。売れっ子の芸妓さんたちは、一晩に数多くのお座敷を廻るため、仮装をして短時間で演じられる出し物を考え、普段とは違う芸で楽しませてくれる。


節分おばけ

また、「ひょっとこ」や「おかめ」の面をかぶった集団が、祇園の花見小路などに出没し、踊りを披露しながら練り歩く。突然現れた行列に観光客は驚いたり喜んだりと盛り上がる。

京都の節分行事は多くの神社仏閣で行われているので、全てを見ようと思うとまだ何年もかかりそうだ。今年はコロナ禍で「豆撒き」などの行事が中止になり、寂しい節分になったが、来年の節分行事が盛大に行われることを祈りたい。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラー

1953年東京生まれ、東京都立大学卒業、株式会社リクルートに入社。進学や住宅の情報誌の営業や企画・人事・総務などの管理職を務め、1995年マネー情報誌『あるじゃん』を創刊。発行人を務めた後、2004 年 ファイナンシャル・プランナー&キャリア・カウンセラーの資格を活かし、“キャリアとお金”のアドバイザーとして独立。企業研修の講師や個別相談を中心に活動中。大学の非常勤講師も務める。東京と京都のデュアルライフを実践中。

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