新型コロナで帰省自粛、リモート帰省やインターネット墓参りで考える「墓参」の本当の意味(3/3ページ)
正木 晃
2020/08/08
墓参りは案外新しい日本の習俗
では、日本の墓参りは、いつ、どのような経緯で始まり、定着したのか――。
それについては、次回、お彼岸の時期に詳しくお話ししていこう。ただ、先に一つだけ申し上げておくと、墓参りが定着したのは、そう古い話ではない。せいぜい江戸時代以降のことに過ぎない。
その理由は簡単だ。江戸初期に幕府の宗教統制政策の一環として、寺檀制(寺請制度)、すなわち菩提寺と檀家という制度が成立するまで、一般人のお墓はほとんどなかったからである。
この記事を書いた人
宗教学者
1953年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。専門は宗教学(日本・チベット密教)。特に修行における心身変容や図像表現を研究。主著に『お坊さんのための「仏教入門」』『あなたの知らない「仏教」入門』『現代日本語訳 法華経』『現代日本語訳 日蓮の立正安国論』『再興! 日本仏教』『カラーリング・マンダラ』『現代日本語訳空海の秘蔵宝鑰』(いずれも春秋社)、『密教』(講談社)、『マンダラとは何か』(NHK出版)など多数。