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新しいオフィスのかたち「猫のいるオフィス」のつくり方(3/3ページ)

山本 葉子山本 葉子

2020/05/29

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「猫がフロアを闊歩するオフィス」の選択肢

テナントとしてビルの一角を借りている会社さんからのご相談もありました。

20坪そこそこの仕事場を保護猫たちの住処として使ってほしいというご提案です。早速、細かな打ち合わせ。猫の苦手な方は社員さんには居ないとのこと。
「猫たちはここで眠るわけですが、空調は?」「1年中つけっぱなしになりますよ」と私たち。

「そりゃもぉ!大丈夫」

と社長さんからの頼もしい言葉をいただきました。とてもいい感触です。猫好きさんたちは猫に仕事を邪魔されても問題なし。「書類を踏まれちゃうかも」「おやつは閉まっとかなきゃ」「膝に乗られたら動けないよなぁ」と嬉しそうです。

この様子なら率先してお世話を頑張ってくれそう。猫の数も数頭なので、保護団体としては飼育をきちんとレクチャーした上で社員の方にお任せする方向で話をしました。社長さんから相談をいただいた時には「猫たちの譲渡活動に貢献したい」とのことだったのですが、その話を社員さんたちにすると

「えー、居なくなっちゃうの!?」

と……。やっぱり、お別れは嫌なものです。猫を飼った経験のある方もない方も、一様に「ここに来てくれた猫を最後までお世話したい」と仰ってくださいました。それならシェルターのような運用ではなく、会社をファミリーのように考えた終生飼育の場所にしましょうということに落ち着きました。社長さんは「卒業(譲渡)させてあげたほうがたくさんの子が助かるのに」とも言ってくださったのですが、どちらにしてもありがたいお話です。

始めるのは簡単、でも続けるのは大変

「会社内保護猫カフェ計画」も「猫が邪魔するオフィス計画」も、何を一番優先するかによって運用が変わってきます。保護猫たちを卒業(譲渡)することを優先させれば、キャットシェルターのような形になり、終生飼育することを望んだ場合はお家で世話をするのに近い形態になります。始めるのは勢いで出来るかもしれません。しかし、途中でやめるのは大変です。多頭飼育の猫たちの行き場を探さなくてはなりません。無理なく進めていくためにもこうした企画にはバックヤードの役割を果たす保護団体が必要になります。

どうでしょう? 猫達を助け続けながらの会社運営。

楽しいことばかりでないですが、一度考えてみませんか。ご相談お待ちしています。

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この記事を書いた人

NPO法人東京キャットガーディアン 代表

東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。

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