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新しいオフィスのかたち「猫のいるオフィス」のつくり方(2/3ページ)

山本 葉子山本 葉子

2020/05/29

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「保護猫カフェ」である以上必要な条件と大きなハードル

猫同士の相性が良いグループを選んで、多頭飼育でもトラブルのないように配慮します。順調に進んできたお話し合いですが、続けていくためには、先方に伝えなくてはならないことがありました。

「受け入れていただいた猫たちは、適切な飼育者さんが希望してくれれば保護猫カフェを卒業(譲渡)させていいですよね?」

皆さん一瞬考え込みました。保護猫達とお別れする日のことを考えてしまったのでしょう。

「あの、例えば最後まで私もお世話するので、ここにずっと居てもらうのはダメでしょうか?」

ペット不可マンションに住んでいる女性が尋ねます。職場で毎日会っている猫とさよならするのは、想像しただけでもつらい。気持ちはよくわかりますが、猫たちの都合についても考えたいところです。この会社の社員さんあるいは取引先の方でも、会社内保護猫カフェに立ち寄った方が里親を希望されてお譲りしても大丈夫な方であれば、やはり譲渡しておうちに迎えていただくのがその子にとっては一番幸せだと思います。そして、空いた場所にはまた次の保護猫を受け入れてあげられる。まるで小さなキャットシェルターのようです。なかには譲渡のご縁がなくて年齢が上がっていく猫も出てくるでしょう。シニア猫によくある症状が進んで、会社内保護猫カフェに居るが厳しい状況になったらどうしたらいいのか。保護団体がお引き受けして必要なケアを最後まで続けると言うことをご説明しました。そして空いた場所にはまた次の保護猫を迎えていただくと言うわけです。お話は行ったり来たりしながら、ミーティングに参加してくださった方々全員が納得していただけました。

「会社内保護猫カフェ」実現に立ちはだかったものとは?

この内容を社内でさらに検討してお返事くださるとのことで、 1週間ほどお待ちすることになりました。そのお返事は、関わってくださったほとんどの社員さんが賛成だったのですが、ビル管理の方からいただいた「退社時から翌日まで、ビルの空調止まります」とのこと。結局、会社内保護猫カフェ計画はNGになりました。

本当に残念な結果になりました。

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この記事を書いた人

NPO法人東京キャットガーディアン 代表

東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。

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