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LOVE HAWAII~ハワイ通の中野亜紀がハワイのあれこれを綴ります~

#11 不動産の所有形態(2/2ページ)

中野亜紀中野亜紀

2019/10/16

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相続検認(プロベート)を 回避する2つの方法

1.修正可能なリビングトラスト(Revocable living trust)名義にする

リビングトラストとは生前にいつでも変更・修正可能な実質遺言書のようなものです。所有者がトラストの設立者となり、このトラストに資産(不動産だけでなく美術品・宝石等を含む動産、株券、債券、証券口座等も可能です)を入れ、設立者が亡くなった後、その資産をどのように管理・分配するかを明記しておきます。その際、不動産の名義もトラスト名義にする必要がありますが、受託者(Trustee)・受益者(Trustor)共に設立者がなることにより、トラスト名義にした財産は個人の財産として引き続き利用できます。ただし、個人の所得税を減税する目的で不動産を所有したい場合や減価償却で節税を考えている場合は、トラスト名義になってしまうため会計士や税理士に事前に相談することをお勧めします。また、プロベートのように長い時間がかかることは回避できますが、費用はこのトラストを弁護士に作成してもらうのに約5,000ドル位~かかると言われています。

2.TODD(Transfer on Death Deed)を登記する

幾つかの州で認められているTODDが、ハワイ州でも2011年から認められるようになりました。これは所有者が亡くなった場合、この物件の名義を誰に移行するかあらかじめ登記をしておく事により、所有者の死亡後、英訳した除籍謄本を登記所に提出すれば、相続検認を受けることなく登記していた名義人に名義変更できます。所有者が亡くなるまで名義は変わらないため、所有者は自由に売却や賃貸でき、税務効果も影響されません。弁護士に依頼しても1物件当たり約2,000ドル前後ですので1,2件所有の場合はトラストより費用も手続きも簡単です。

名義や所有形態は日米両方の法律や税法がかかわってきます。米国側の弁護士や会計士・税理士は不動産業者が紹介することできますが、日本側も必ず自身の弁護士や税理士に相談して決めてください。

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この記事を書いた人

東京都出身。2000年8月から一人娘とともにハワイへ移住。2005年ハワイ大学経営学部会計学科卒業後、ハワイの日系不動産会社に勤務しハワイ州不動産免許(後にブローカーライセンス)を取得。2013年、雇用による永住権を取得し、現在は不動産投資・開発・管理・売買・商業物件・バケーションレンタル等扱う現地総合不動産会社“リアルセレクトインターナショナル”で、日本人顧客の居住用不動産売買を担当。https://www.realselectintl.com/

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