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賃貸物件のエアコン室外機・給湯器に「盗み」の魔の手が…! 対策は?

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室外機9台が消えたアパート

先月、あまり目立たないニュースではあったが、神奈川県平塚市のアパートでエアコンの室外機が盗まれた事件が報じられている。男が逮捕され、「1台を窃盗した」容疑がかけられているが、実際にこのアパートから消えている室外機はなんと9台にのぼるらしい。警察が引き続き関連を調べているとのことだった。(7月28日時点の報道による)

エアコン室外機の盗難には、この事件のように時折賃貸住宅オーナーも見舞われる。しかもオーナーの場合、被害の数がかさむ傾向がつよいのが特徴だ。理由は、もちろん賃貸マンションやアパートでは、手近な範囲に室外機が複数固まって置かれていることが多いためだ。周囲の目が届きにくいアパート裏側の敷地に各部屋の室外機がずらりと並んでいるケースなど、それらをまとめて盗まれる悲劇も起こりやすい。

なぜ室外機が狙われる?

室外機を盗む側のねらいは主に機械の中身にある。銅やアルミニウムで出来た金属部品を売って換金するのが目的だ。

そのうえで、かつてはとても重たかったエアコン室外機は近年軽量化が進んでいる。そのことは設置業者を喜ばせているが、窃盗犯のシゴトも楽にさせている。そもそも屋外にあるため持ち去りやすい条件にあったモノが、だんだん軽くもなってきて、ますます狙われやすくなっているのが現状だ。

給湯器も狙われている

さらに給湯器も金属部品を目的とした窃盗犯に狙われやすい。中に銅製の釜が入っていて、これが結構な値段になったりするのだ。エアコン室外機同様、こちらも屋外に設置されているため、場所が周囲から目立たなければ犯人は容易に目的物に近づくことができる。あとはスムースに取り外す技術と運び出す手段さえ持っていれば、作業は比較的楽なものだろう。

盗難を防止するためには?

エアコン室外機や給湯器の盗難を防ぐため、いくつかの対策をアドバイスしたい。まずは窃盗犯がとても嫌がる「彼らの存在を周囲に目立たせる」方法だ。

窃盗犯の存在を周囲に目立たせる方法

1.防犯砂利を敷く
多くのオーナーが「防犯砂利」の存在をご存じだろう。踏むと普通の砂利よりもかなり大きな音が出る。表通りや周りの家からの視線が届きにくい場所に機器が置かれている場合など、防犯砂利の敷設はとても効果的だ。もちろん空き巣予防にもなる。

2.人感センサー付きライトを設置する
 人の動きに反応して明かりが点る屋外用の照明を設置する。夜の犯行を防ぐ効果に期待がもてる。

3.防犯カメラを設置し、存在もアピールする
防犯カメラの設置は、窃盗犯はじめ不審者対策の王道といっていい。なお、これを実際に防犯(=犯行を事前に防ぐ)のために役立てるには、「監視カメラ作動中」等の目立つ表示をするなど、存在をアピールすることが重要になってくる。費用をかけずにダミーのカメラを設置する方法もあるが、その場合は、犯行が実際に生じた際、捜査の役には立たなくなる。

次に、窃盗犯の仕事をやりにくくさせる方法を挙げていこう。作業がスムースに進まず、時間がかかる状況を彼らは非常に嫌がる。

 

 作業を進めにくくさせ、犯行をあきらめさせるための方策

1.室外機を盗みづらいかたちで設置する
これから賃貸住宅を建てるオーナーは、ぜひ、これをあらかじめメニューに入れておいてほしい。エアコン室外機を設置するにあたり、よく見られるプラスチック製のブロック(足場)には固定せず、重いコンクリート製のブロックに固定する。さらに、両者を外れにくいボルトで固く一体化させる。全体の重量を増やすことで、盗み出すのを面倒にさせ、あわよくば犯行をあきらめさせるのが目的だ。

2.チェーン、鍵、柵などを利用する
 室外機や給湯器の置かれている状況にもよるが、鍵付きのチェーンを取り付けたり、柵を周囲に巡らしたりといった方法も、それが可能であれば、盗まれにくくするためにもちろん有効だ。

なお、以上についてはそれぞれの機器を取り扱う事業者や工務店などが色々なノウハウを持っている。「おたくではどんなアイデアがあるの?」と、ぜひ尋ねてみよう。

次に、実際に盗難に遭ってしまった場合の「事後」を考えての準備を挙げてみたい。

不幸にして盗難に遭ってしまったときのために

1.設置場所などを機器に書き記しておく
たとえば「〇〇市〇〇町〇丁目〇〇アパート設置物・所有者同アパートオーナー」などと、機器の外にも中にも消されにくいように記しておく。あるいは、剝がれにくいシールにして貼っておく。盗まれた際の素早い発見のためだ。加えて、この方法には犯行を抑止する効果もある。「売ろうとしても盗品ではないかと疑われ、換金しにくくなる」ということで、犯人が盗むのをためらうことも期待できる。

2.保険でカバーできるようにしておく
物件に設置してあったエアコン室外機や給湯器を盗まれてしまったオーナーからよく聞かれる2つの声がこれだ。

その1
「一気に複数台が盗まれ、一時はどうなるかと思った。でも火災保険がカバーしてくれると判った。よかった!」

その2
「火災保険がカバーしてくれると聞いて調べたが、盗難への補償は付けていなかった。保険料の節約が裏目に出た!」

 ――説明は要るまい。早速、加入している保険の補償内容を調べてみよう。

最後に、こんなアドバイスも付け加えておこう。窃盗犯に犯行をためらわせる予防措置のひとつとして、効き目があるかもしれない。

ハッタリでもよいので「発信機付き」であると脅しておく

昨年、ネット界隈で「盗まれた給湯器の運び込まれた先が、取り付けていたアップル社のAirTag(エアタグ=Bluetoothを使った発信機)によって判明した」とのエピソードが話題になった。こうした措置をオーナーが物件に設置された機器全部でとれるかはさておいて、せっかくの話題を利用してみるのもよいかもしれない。ハッタリでもいいので「この室外機・給湯器には発信機が取り付けてあります」と、記しておくのだ。他人の物を盗もうとする悪人に対し、ウソをためらう必要などまったくない。

 

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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